「親愛なる僕へ殺意をこめて」がめちゃくちゃ面白くなってきた件について
2022年秋ドラマ、「silent」の評判が異様に高くなってきていますね。
ここまでの視聴率が特段高いわけではありませんが、TVerの再生回数記録を更新したとか…。
まあ、その視聴率も尻上がりで(日本史シリーズの影響で低下した回もありましたが)、10%の大台も間近か?…とも言われています。
【2022年秋ドラマ】視聴率ランキングとオススメの作品まとめ | 【dorama9】
さて、本ブログでは先日、内容的に見て今後も継続して視聴していくドラマを絞り込みました。
この中で触れたキーワードは「脚本の優秀さと俳優の力量」です。
そう考えたとき、今季の不遇の作品、「親愛なる僕へ殺意をこめて」の異質さが際立つと改めて感じます。
だって…。
前回の「第5話」は、予想を裏切る怒涛の展開と俳優陣の「怪演」ぶりでめちゃくちゃに面白かったのですから…。
時を忘れて楽しんだ第5話(ネタバレ含む)
ここからはネタバレを含みます。ご注意を。
第5話は、正に前半を締めくくるネタばらし的な回となりました。
殺人鬼「LL」の息子として肩身の狭い思いをして生きてきたエイジ(山田涼介)ですが、どうやら自分が二重人格者であり、もう1人の自分「B一」が殺人事件に関与しているのでは…と気付くに至ります。
殺害された売春婦が関わる裏組織とのやり取り、その組織からの現金強奪事件との絡みを探る中で、B一が白菱(佐野史郎)と何らかの協力をしながら事件に関与している…ということを掴んだエイジでしたが、実は恋人である京花(門脇麦)も関与しているようで…というのが4話までのあらすじ。
第5話では、LLが京花の姉を殺害しており、その後を追って母も死亡していたという事実を京花自身が語ります。しかも、白菱が自分の父親であったことも。
実は京花は幼い頃から母親に虐待されており、自分だけかわいがられていた姉、自分を虐待していた母、そしてそれを容認していた父を、心から憎んでおり、殺人鬼LLがそんな自分の環境を変えてくれた…と、信仰にも似た感情を抱いているのでした。
そして、京花がエイジに近づいたのも、
「LLの息子であれば、LLのように自分と似た環境の人間を救うための殺人を犯してくれるだろう」
という期待をもっていたからだという、衝撃的な告白をするのです。
まずもって、原作を全く知らない私としては、このストーリー展開にしびれました。
「グロすぎる」という理由で第一話でリタイヤした人が多い…と言われているのですが、その表現方法を除けば、練りに練られたストーリーであり、ドラマ化に当たっての脚本も秀逸。
そして、それを猟奇的な感覚で演じる役者の力量も本物と、ドラマとしては非常に優れているサスペンスものとなっています。
ここまでは、間違いなく傑作といっていいほどの出来です!
山田さん、門脇さん、佐野さんの「怪演」ぶりがえげつない!
第6話は、山田さん、門脇さん、佐野さんの「怪演」が際立ちました。
特に門脇さんは、これまでエイジを献身的に支えている…というイメージを一気にぶち壊し、精神的に崩壊している本来の自分を表現しました。
その振れ幅足るや、見事です。
門脇さんは、これまでもこのような一癖ある役が多かったわけですが、本作は彼女の代表作になると思えるほどの素晴らしさです。
また、佐野史郎さんは、実は誰かに従属しないと自分を保っていられない…という本質を第6話で表現します。
これまでの大学教授然とした凜々しさとの対比。人格が崩れていくかのような演技。やはり「冬彦さん」のような振れ幅の大きい役がピッタリとはまります。
門脇さんと佐野さんに関しては、正に「キャスティングの妙」。
作品づくりにおいて重要視すべき点についていらためて考えさせられました。
そして…。
「振れ幅」という点では、山田さんも負けてはいません。
第6話でも、「エイジ→B一」への瞬時の豹変ぶりには驚きました。
おどおどしたエイジから、冷酷なB一へ…。
空気感が180度変わるのです。
これに、密かにエイジに思いを寄せるナミを演じる川栄李奈さんの好演も手伝い、今後もますます期待できる展開になっていくことは間違いないでしょう。
更に…。
警察側の桃井(桜井ユキ)、猿渡(髙嶋政宏)にも何らかの秘密がありそう。
個人的には「silent」を超えた、今クール最大の注目作に成り上がっております。
皆さんにも強くお薦めしたい作品です!