エイジング20時間で音に変化が!
AVIOT「TE-Z1PNK 」のレビューをしております。
ここまで、「開封・ペアリング編」「音質ファーストインプレッション 前編」「音質ファーストインプレッション 後編」と来まして、今回は「エイジング20時間後編」となります。
さて、本音を言うと…。
この「エイジング20時間後編」を書くことはないだろう…と考えておりました。
というのも、最近のイヤホンはファーストインプレッションの音質とエイジング後の音質との間で劇的に音が変化することで少なくなってきた…と感じているからです。
AVIOTの製品にしても、先日レビューした「TE-J1」はエイジングによる音質の変化は大きくありませんでした。
しかし…。
試しに黙って20時間エイジングをしたところ、今回「TE-Z1PNK 」は明らかに音質に変化がみられました。
以前は「TE-J1の圧勝」と捉えていた音質比較も見直さなくてはなりません。
明らかに中・高音がせり出してきた
まずは、前回までの「TE-Z1PNK 」の音質に関して…。
〇低音の量、重さは「TE-J1」より上。
〇 "ずっと真夜中だったらいいのに" の「ミラーチューン」などを聴くと、ベースやギターの艶めかしい低音が押し寄せてきて心地良い。
△量・雰囲気ともに評価できる低音だが、締まりがなくだぶついて聴こえる。ゆるい音傾向がハマる曲があることは事実だが、この量感のある緩さが中・高音をスポイルすることの方が多い。
△低音の量感が多く、しかも前にせり出してくる聴こえ方をするために、中・高音が引っ込んで聴こえる。特に中音のボーカル帯の物足りなさは顕著。
△中・高音は量感だけでなく解像度も不足しており、伸びも足りていない。「TE-J1」のどこまでも伸びていく感覚は影を潜め、伸びきれないBluetoothを感じさせる高音部。
△低音部は左右の広がりを大いに感じるのだが、中・高音部が埋もれている感覚が強いため、「全体として」の音場の広がりを感じづらい。
△豊かな低音と、カスカスしている中・高音部との繋がりが良くない。「ウーファーとしてダイナミック型を、ツイーターとして平面磁気駆動型ドライバーを同軸上に配置した新開発コアキシャル2wayドライバー」がウリだったはずだが、はっきり言ってそのよさを生かし切れていない。
まあ、何とも惨憺たる結果でした。
これでは「4万円の価値」について考えなくてはならないレベルだったわけです。
しかし、エイジングで次のように変わってきました。
〇ぼやぼやしていた中・高音部の解像度も十分なものに変化した。
〇中・高音部の伸びもアップ。
〇中・高音部が主張してきたことで、前後左右の音場も明瞭となってきた。
△ただ、特に高音部がシャリシャリしていて「TE-J1」よりも明らかに刺さる感じがある。カスカスしていて密度が足りていない感じ。
△ゆったりと深い低音ととがった感じの中・高音部とのバランスが悪い。聴いていて中・高音部が浮き上がっている感覚がある。
△また、中音のボーカル帯も線が細くとがった感覚を受ける。ボーカルに艶が感じられない。
といったところでしょうか。
バランスで言えばやはり「TE-J1」となる!
というわけで、バランスで考えると「TE-J1」の方が好ましいと判断します。
特にボーカルものを聴くのであれば、その差はダントツになるかと…。
中音の自然なせり出しと艶と解像度のバランスが絶妙な「TE-J1」のボーカルは、ワイヤレスで聴いていることを忘れさせてくれます。
それでいて低音がしっかりと沈み込み、高音の伸びも問題なし。
本当に穴のないイヤホンなのです。
しかし…。中・高音部が当たり前に出てくれるようになったことで、「低音好き」にとっては「TE-Z1PNK 」の方を選択する余地も十分にあると感じられるようになりました。
中・高音部が、Bluetoothイヤホン特有の息苦しい感じになるのが気になりますが、豊かで特徴的な低音を最優先で考えるのであれば、こちらもありかと…。
とりあえず、「TE-Z1PNK 」はある程度のエイジングが必須の機種と言えるでしょう。
評価はその後…ということで。
次回は「快適性編」。