「A17Bionic」「M3」の3nmプロセスチップ、そんなに性能高くない?
つい数ヶ月前からは、
「次世代の主力たる3nmプロセスルールで製造されたチップの投入時期はいつか?」
ということで盛り上がっていました。
もしかすると「A16Bionic」や「M2 Pro/Max」が3nmで来るのでは…という噂もありましたが、結局は「5nm」で落ち着きました。
来る2023年は、いよいよ3nmApple Siliconチップのデビューとなるでしょう。
そして、3nmになることで、性能が大きくジャンプアップする…と期待されてきました。「A16」「M2」がマイナーチェンジ的なアップデートであったことも、メジャーアップデートたる「A17」「M3」の未来があるからこそと…。
しかし…。
その期待の3nmチップの性能はそれほど大きく伸びないのではないか…という記事が来ています。
本当だったらAppleにとって大打撃となるのでは?
今後のApple Siliconは製造コストとの戦い?
記事によると、
中国メディアiMediaが、iPhone15 Proシリーズ用A17や、Mac用M3を製造すると噂のTSMCの3nmプロセスでの性能向上率は期待されているほど高くないと予想、その理由を説明している
ということです。
記事には、
N3でのトランジスタ密度は、5nmプロセス「N5」から70%増加するとTSMCは発表しているものの、N3でのSRAMセルの面積は0.0199平方ミクロンで、N5での0.021平方ミクロンと比べて5%しか縮小されていないとiMediaは指摘している
としています。
つまり、トランジスタ量は確実に増加しているものの、RAMセルの面積が殆ど縮小されていない…ということを問題視しているのです。
私はチップ構造についての知識はありませんが、
トランジスタ量が増加することでCPU・GPUの性能はアップするものの、キャッシュとして利用されるSRAMの性能が殆ど変わらないのであれば、期待通りの性能アップは難しい…
ということなのかもしれません。
加えて本記事が気にしているのが「コスト」です。
上記の理由で十分に性能が上がらなくても、チップの微細化によってコストは確実に上がるわけで、当然そのコストはチップ価格に反映されます。
この際の「性能アップとコストアップのバランス」に、ユーザーが納得できないのではないか?…というわけです。
無双だったApple Siliconに迫る陰?
これまでiPhoneのAチップは正に無双状態の強さを発揮していました。
また、Mチップに関しても、そのコスパのよさでPC業界を席巻中です。
ただ、それもApple Siliconの性能が順調に伸びてきたからなせる技でした。
この「性能アップ」という部分に不安が生じるのであれば、状況は一気に変わってしまう可能性もあります。
また、ここに「コスト」の問題が絡んでくるのであれば、「コスパ」という点でApple側が不利になることは明白。IntelやAMDの追い風になることも考えられます。
今回の「3nm」チップにしても、結局採用されるのは「N3」ではなく「N3E」になるのではないか…とのこと。
これは、「改良版」とは言うものの、SRAMセルの面積は0.021平方ミクロンでN5と同じということですので、コスト重視の実質的な「改悪版」であると言えるでしょう。
チップ性能でここまでのし上がってきたAppleが、その命とも言えるチップで妥協しなくてはならない…。
非常に気になる動きと言えるでしょう。