Appleの内製化、今後の進み方は?
先日、Apple Watch用「MicroLED」について、設計をApple内製化するのでは?…という記事をご紹介しました。
「Apple内製化」に対して、「Samsung製」「LG製」と、バラバラの予想が出てきている…ということなのですが、最近は「Samsung一択」となっているAppleデバイスからしてみると、ここで「内製化」に向かうということは、かなり大きな方向転換のような気もします。
そんな中…。
「Apple内製化」の「これまで」と「これから」についての記事が来ています。
Appleが向かう先とは?
「昔から存在した「内製化」の歴史
記事によると、
Appleのこれまでの内製化の歴史と、今後内製化が噂される部品についてまとめてみた。ちなみにここでいう内製化とは設計や技術を社内で行うという意味であり、Appleは製造についてはTSMCなどの他社に委託しています
ということです。
近年の「内製化」で言うと、最大のニュースは「Apple Silicon」ですね。
これまでもiPhone、iPad用の「Aチップ」の卓越した性能で業界をリードしてきたわけですが、「Mac用 Mチップ」は正に歴史的な転換点といえるかもしれません。
Intelチップとの別れ、そして、SoCの採用は、PCの定義そのものを根本から変えるほどの大激震でした。CPUも、GPUも、メモリも、ひとつのチップの中に混ぜ込むという考え方は、それまでの「分業制」から成り立つIntelベースのPCと一線を画すものでした。
しかも、出てきたM1チップの性能がIntelチップを凌駕する面もあったことで、一気にその可能性が広がりました。
また、Appleが更なる内製化を急いでいるイメージを植え付けたのが、「純正モデム」の動き。Intelのモデム部門を買収したことで、ここ数年はそのデビューの時期がいつか…ということが話題になります。
当初の噂よりも登場時期が後ろ倒しになっているのが気になるところではありますが…。
そして先日のApple Watch用「MicroLED」です。
これまでは他社製品の流用を余儀なくされていた部分の内製化を推し進めようとする動きは、今後も拡大する可能性がありますね。
「生産工場を持たない」という脆弱さとどう向き合うか?
しかし…。
本当にそんなにうまくいくのでしょうか?
私のような素人が考えただけでも、
「自社生産工場を持たないAppleだからこそ、他メーカーや製造を委託する企業との関係性の部分がアキレス腱になるのでは?」
と考えてしまいます。
せっかく高度な技術は有していても、それを製造しうるだけの技術をもった生産工場との間に修復不可能なトラブルが発生したら…?
単なるアイデアだけでは全くAppleの儲けにならないわけで、アイデアを形にしてくれる製造メーカーが必要となります。
現在の最高のパートナーは、チップ製造の「TSMC」ですね。
しかし、その蜜月がいつまでも続く…という保証は全くありません。
また、モデムの供給を受けている「Qualcomm」とは法廷闘争の前科あり…。
さらに、ディスプレイの供給を受けている「Samsung」とは、スマホ業界でのライバルです。
損得勘定の何とも不安定な橋を渡っているのが現在のAppleの立ち位置であることは明らか。
今後の内製化の動きがますます強まるのか?
今後も「生産」という方向には目を向けず、現在のやり口を貫き通すのか?
何とも興味深い観点です。