DEVIALET「GEMINI II」との比較編
Bowers & Wilkins「Pi8」を購入し、レビューしております。

前回は、Pi8の音質についてまとめました。
私の感じたこととしては以下の通りです。
◎低音がベースとなるが、中・高音も美麗に響き渡る。「鋭い」という感じではないが、上まで自然に伸びていく。
◎非常に「情報量」が多い。GEMINI IIでは聴き取れなかった音まで聴こえる。かといって解像度がバキバキで…という音作りでは無く、「密度感」で勝負している感じ。
◎この「密度感」がイヤホンのそれでは無く、ヘッドホン級。Bowers & Wilkinsの「PX8」並の音の厚さを感じる。音傾向も近しい。
△イコライザで調整しても低音の量の多さが気になる。低音好きには完璧だろうが、中・高音を邪魔しない程度の良質な低音を望んでいるのであれば、これが我慢できるかどうかが鍵を握る。
△他のレビューで、「ボーカル帯が引っ込みがち」とあるが、引っ込んでいるのでは無く「低音が主張が強い」という印象。ただ、これがあくまでも「好み」の範疇であり、音作りとしては完成されているあたりにBowers & Wilkinsの素晴らしさを感じる。
△ヘッドホン級の重厚な音だが、逆に言えば開放的な音ではない。密閉感があり、音場は非常広いのに小さくまとまって聴こえる印象が残る。
△加えて、音全体がダマになって聴こえる印象のため、解像感、分離感はGEMINI IIに譲る。
低音中心のゆったりとした音作りで、中・高音も破綻無く美麗な音で鳴らし切る名機です。
イヤホンでありながらヘッドホンライクな音を実現しており、従来のイヤホンとは一線を画すものとなっていると感じました。
ヘッドホンのような包まれる落ち着いた音が好みであれば、唯一無二と言えます。
ただ、私が比較したいのがDEVIALETの「GEMINI II」。
こちらはイヤホンらしい開放感のある音が素晴らしいリスニング系イヤホンの最高峰だと考えています。
さて、私の評価は?
聴く楽しさ、ボーカルの美しさでいえば…
私の評価を書く前に…。
これから書く内容は、あくまでも私個人の見解です。
この「Pi8」と「GEMINI II」は、現在のイヤホンの最高峰と考えて間違いないものです。これまで何度も書いてきましたが、完全に「好みの問題」での評価となるでしょう。
結論からいうと、私は「GEMINI II」を選択します。

まずもって、私がイヤホンに求めるのは「ボーカルが美しく聴こえる」こと。
この点、「GEMINI II」は満点です。
耳元で囁かれるような美麗や音と耳との距離感。中・高音部が何のストレスも無く突き抜けて行く感じ。
これ以上解像度が高くなると機械的な感じになってしまう…というぎりぎりの線を保つことで、音のキレが生まれます。
さらに、Pi8は低音ベースの音作りのため、中・高音のボーカル帯の主張が目立たなくなっているのが痛いです。
GEMINI IIも十分に低音が出る機種ですが、ボーカル帯を邪魔しない絶妙なチューニングがされているんですよね。
また、GEMINI IIは、一つ一つの音の分離感に優れ、それが音場の広さに繫がります。
Pi8は、GEMINI IIよりも音の情報量は多いのですが、音の解像感が控えめで分離感…という部分では曖昧な感を受けます。
音場もGEMINI IIと同等の広さを持っているのですが、解像感・分離感の不足から、どうも壮大な音作りにはなっていない感じです。また、キレ、スピード感もまったりとしている印象ですね。

総じて…。
一つ一つの音をしっかりと受け止めながら、ゆったりと聴きたいのであればPi8。
楽器中心の曲であればなおさらいいでしょう。ヘッドホンのようなある程度の囲まれ感のある音が好みであればドンピシャです。
逆に、ボーカルを美しく、切れのよい音で聴きたいのであればGEMINI II。
壮大な音場と解像感・分離感とともに、スピード感のあるリスニングの境地を感じることでできるでしょう。
これらが完全に「好み」の問題なだけに、「Pi8」と「GEMINI II」の選択に迷う…ということは考えられないのかもしれません。
音の傾向とすれば対極にあり、それぞれの方面でトップの音質を誇るイヤホンだと考えます。
次回は、どうしても伝えておきたいPi8の「耳への収まり」と「イヤピース」について。