映画「殺さない彼と 死なない彼女」がなかなかいい!
間宮祥太郎さんと桜井日奈子さん主演の映画「殺さない彼と 死なない彼女」を,AmazonPrimeで観ました。
いや〜,素晴らしい作品になっていると思います。
唯一,間宮さんの高校生役はかなりきついですが…(笑)。
それはさておき…。
非常に魅力的なのが,作品の内容。
期待の若手女優の4人ががそれぞれの個性を活かして躍動しています。悩みをかかえる4人を,これだけ見事に描き分けられたことで,ストーリーのメリハリが効いているのです。
この「メリハリ」が,この映画には絶対的に必要でして…。
ネタバレになりますので,詳しくは書きませんが,ストーリーの中の時間軸の描き方に「仕掛け」がありまして,序盤から中盤にかけて,その仕掛けに伴う「伏線」が至る所に張り巡らされています。
その「伏線を」終盤にかけて一気に「回収」していくのですが,その過程が,登場人物達の成長を促すために欠かせない「キー」になっているため,恐らくこの映画,「後から答え合わせのために二度観したくなる」こと請け合いです。
そして観終わった後には,切なくも前向きな感情がわき上がってくる,心に染みる作品となっています。
若手女優の競演ぶりがすごい!
この映画,期待の若手女優さん4人の魅力がたっぷり詰まっています。
「競演」と書きましたが,作品中の登場人物同士でストーリー的に関わっている要素は少なく,3つの異なるストーリーのように描かれていきます。
それ自体が,前述した「伏線」になっており,終末で繋がっていくのですが,ストーリー展開とは別に,4人の女優さんの演技がすごい!
まずは主役の桜井日奈子さん。
桜井さんは,自殺願望があり,リストカットを繰り返す「鹿野なな」を演じます。感情の起伏が激しく,自尊感情の薄い「なな」が,間宮さん演じる「小坂れい」に出会って変わっていく過程を,「心の闇」の部分を見事に表現しながら演じていることに驚きました。
桜井さんが,これ程深い部分を演じることができるとは,失礼ながら思っておりませんでしたので,今後の活躍がますます楽しみになってきます。
次に通称「地味子」こと宮定澄子を演じた恒松祐里さん。
地味な存在ではありますが芯が強く,自分とは正反対の「きゃぴ子」を支える存在として地力を見せつけました。眼鏡をかけて地味にしていますが,恒松さんのかわいらしさがあふれ出ております…。
この方は,映画「くちびるに歌を」の好演で,主役である新垣結衣さんを完全に喰ってしまうほどの存在感を見せつけました。演技力には定評があり,その後も映画を中心にTVドラマでも活躍していますが,今回のように「2番手」の女優さんとして起用されることが多くなっています。今後は「主役」として演じる彼女を観てみたい!
その「地味子」とは正反対のかわいさをウリにして男性から求められることを願う「堀田きゃぴ子」を演じたのが,今話題の堀田真由さん。
男性に依存し,常に一番に求められることを願うのは,幼少期のある経験があるから…ということが,ストーリーが進むにつれて分かってきます。男性とのすれ違いの中,自分をどこまでも支えてくれる「地味子」の存在を再確認することで,再生のきっかけを掴んでいきます。
堀田さんは,そんな女性の弱さと,覚悟を決めたときの強さという両面を見事に演じ分けました。この方も自力があります。
最後に,一途に一人の男性を愛し,そのことを素直に伝え続ける「大和撫子」を演じたのが箭内(やない)夢菜さん。純粋に,自分の思いを伝え続ける一途さを,可憐に感じました。
この方,どこかで観たことが…と思っていたら,TVドラマ「ゆるきゃん△」で「野クル」のお姉さん的キャラである「犬山あおい」役を演じていた方でした。
「犬山」は,役柄としてはおっとりしていながらもクールでサバサバしており,サークルのメンバーを引っ張っていくような存在でしたが,今回の「撫子」は,「ゆったりとした一途な愛情」を届けるおおらかさと,それでいて何度相手に拒否されても諦めないという心の強さを併せもった女性でしたので,その演じ分けの仕方に驚きました。
いやいや,この方もとんでもない実力を感じされられます。
今回のように,以前から注目していた方,また,「注目」とまでは行かなくてもどこか気になる存在だった方が,その才能を開花されて行くのを目の当たりにする作品に出会えたことは,大変にラッキーなことでした。
作品として非常に魅力的なものに仕上がっていると思いますので,どうぞ皆さんもご覧になってください。