映画「恋は光」にめちゃくちゃ心が洗われた件について
先日、映画「恋は光」をAmazonPrimeで観ました。
「恋をしている人が光って視える…」という特殊能力をもつ男が…という設定自体が実に怪しげで、正直それほど期待していたわけではありません。
平祐奈さんの演技が気になって…というのが正直なところだったのですが、観終わると、心が洗われたようなすがすがしい気分になりました。
これ、素晴らしい作品です。
無理な設定をも覆す3女優のキャラ振り
ストーリーとしては、
恋する女性が光って視えるという特異体質の西条(神尾楓珠)が、北代(西野七瀬)、東雲(平祐奈)、宿木(馬場ふみか)という全くタイプの違う3人の女性と関わりながら、本当の恋愛感情と何かに気付いていく…
というもの。
西条だけではなく、東雲、宿木もまた、恋愛に関する自分の考え方を確かめていくという筋立てになっており、青春の惑いのようなものが切なく描かれています。
本作品が非常に魅力的に映るのは、3人の女優陣が輝いているからに他なりません。
北代(西野七瀬さん)
幼い頃からの西条の幼なじみ。
西条の両親が幼い頃になくなったという事情を知っており、西条のいびつな性格をも含めて、ずっと思いをもち続けている。
ただ、あまりに距離が近いせいか、その思いを西条に伝えるタイミングを完全に逸してしまい…。
西条が東雲に好意をもったり、宿木が西条にアクションを起こしたりと、環境が変わったことで、自分の思いの伝え方に迷っている…。
演技力…という点で、最近やや伸び悩みを感じる西野さんですが、この作品では、北代の表面的な強さと内面的な弱さを見事に演じている思います。
東雲(平祐奈さん)
友人との関わりに全く関心が無い文学少女。
「恋とは何か」を哲学的に自己問答しており、そのいびつな感情故、西条との波長が合うことに気付いていく。
西条のまっすぐな態度に次第に惹かれていき、西条からも東雲の身体が「まばゆいまでに光り始めていく」ことが分かるようになって…。
かなり偏屈でありながら、自分に素直に行動する東雲を、平さんが見事に演じています。
宿木(馬場ふみかさん)
他人の恋を奪うことに喜びを感じる奔放な女。
北代や東雲が西条に惹かれていることに気付き、西条に近づいていくことに…。
しかし、まっすぐな西条は全く自分に興味を示さず、混乱。
いつしか北代や東雲と親しくなり、自らの恋愛に対する考え方を見直し始める…。
サバサバとながらも自らを見つめ直そうとする豪快さと繊細さを、馬場さんが見事に演じています。
「恋が視える…」という突拍子もない設定から始まるストーリーですが、内容は若者の恋愛感情を真正面から実に素直に正直に描き出しており、その爽やかさに非常に好感がもてます。
そして、それらを素直に演じている俳優陣。
観終わった後の「心が洗われた感覚」は、妙に作り込みすぎない演出と、演者の透明感が生み出す、嘘偽りのない雰囲気から生み出されたものだったと考えます。
「本当の恋」に気付く西条 そして平祐奈さんの魅力
最終的に西条は、「本当の恋」に気付きます。
なぜ自分に恋い焦がれてきた「北代」が光って視えなかったのか?
理由の説明はありませんが、それはあなたが考えてね…というこの映画からのメッセージのように捉えました。
さて、個人的に演技でも最も印象に残ったのは平祐奈さんです。
この方の雰囲気、唯一無二ですよね。
ちょっとばかり偏屈な役柄がよく似合います。誰にも真似のできない演技…。
今回の東雲は、映画「ReLIFE」の日代さんに見事に重なります。
ただ、「10万分の1」のように、王道の演技も非常に魅力的なのです。
今後は、王道側の演技をもっと見て見たい期待の女優さんです。