有機EL時代のJDI
ジャパンディスプレイ(JDI)が命運を賭けたiPhoneXRがコケ,いよいよその経営が怪しくなってきたという記事を以前に書きました。
そもそも,余命短い「液晶」にその命運を託していたという時点で,もはや機を逸しているともとれるわけですが,正に「泣きっ面に蜂」。そのiPhoneXRの販売不振というダブルパンチを食らっているわけです。
最近になってようやくiPhoneXRの販売も持ち直しているという話も聞きますが,当初の予想よりも上回っているということはないでしょう。
こんな中,先日は「1,100億円」という多額の融資を中国資本から受けたと言うことで話題となりましたね。
そして,その資金の活用方法の皮切りは,「Apple Watch用」の有機ELのようです。
再度の融資,しかも中国系→崖っぷち?
これに関して,2点気になることがあります。
①中国系からの融資である
一つ目は,融資元が「中国系」のシルクロード基金(絲路基金)であるということです。
どうしても中国・台湾系からの融資のイメージは,三洋やシャープが飲み込まれたように,
「いずれは傘下に吸収されてしまう…」
というものです。
恐らく,今回のJDIもそれに近い運命が待っているのではないでしょうか?
その理由が,次の②に関することです。
②Watch用のディスプレイでは…
確かにウエラブル端末の市場は爆発的に拡大しています。同時にスマホの成長が滞っていることも知っています。
しかし…。
今後もある程度の大きさがある有機ELパネルが,流通の中心であることは明かでしょう。
恐らく,スマホが限界に来ているのであれば,近いうちにiPadのようなタブレット,そしてMacのようなノートPCにも有機ELパネルが使用されることになるでしょう。
iPhoneXSを使用してみて,やはり目への刺激が非常に少ないことは明白。
以前に,それが科学的にも立証されたという記事も紹介しました。
私は,動画を長時間観たり,ディスプレイを長時間見続ける作業を行うことが多かったりするiPad,Macでこそ,有機ELパネルの利点が生かされると確信しています。
価格が下がってきたら,多少であれば高くとも購入したいという気持ちももっているほど。
Watch用の小型ディスプレイでは,「間に合わない」のではないでしょうか?
JDIが今回の融資を元にちまちまやっている間に,Samsungはより大型の有機ELパネルを「低価格化」「高性能化」させていくことは明白です。
どうもJDIの考え方には,
「世の中が現時点から進まない」
というかなり勝手な「前提」を感じ取り,絶望感が漂うのです。
皆さんは,JDIがWatch用のディスプレイを生産することで,多額の融資に耐え,経営を正常化させるだけの売上を確保することができるとお考えですか?
日本パネルメーカー消失の危機
JDI…。
私は数年後には更なる経営不振の並みがやってきて,今度こそはその波に飲み込まれてしまうのではないかと考えます。
そして,そのときこそ日本のパネルメーカー消失の危機となることでしょう。恐らくシャープにしても,ここから急伸することは考えづらいわけですので…。
21世紀初頭には,シャープがTV液晶で世界を席巻しました。
しかし,その栄華も長くは続かず,今や韓国勢の後塵を拝しています。
後塵を拝する…で済めばいいのですが,日本の技術そのものが消失してしまう危機です。
世界中を仰天させる,「ディスプレイ界のブレイクスルー」が,国産メーカーから出てくることを,心から願うばかりです。