WWDCへと動き始める…
この時期になると,視線は6月のWWDCへと向けられ始めます。
今年のWWDCはオンライン開催になるようで,どのような形態をとるのか…という点についても注目されますね。
さて,昨年度のWWDCで発表され,OSとして独立した上に,これまでにないMacOSとの連携という新機軸も示したことで注目を浴びた「iPad OS」。
先日はiPad Pro専用のMagic Keyboardも前倒しで発売したこともあり,よりタイピングを意識した新しいiPadの活用を,Appleとしては後押ししたいようです。
よく,「iPadのMac化」ということが言われますが,本ブログでは,そもそも「iPadとMacは根本的に異なるデバイス」という考え方を取ってきました。また,恐らくはその考え方は今後も変わらないはずです。
変わるとすれば,Mac OSとiPad OSとが完全に融合し,「MacとiPadの垣根がなくなったとき」となるでしょう。
しかし,主に指やスタイラスでの入力を想定したiPadと,キーボードやマウス・Track Padでの入力を想定したMacとでは,想定される作業内容も異なるはずですし,製品コンセプト自体が完全に重なることはないはず。
私はWindowsPCのように,むやみに双方を融合することには反対です。
必要であれば,MacとiPadを併用するのが,もっとも健全だと考えます。
それを踏まえた上で…。
iPadの操作性を快適にするために,MacOSの要素を部分的に取り入れるのであれば,許容範囲でしょう。Apple側も,ユーザー側も,「無理にお互いを寄せる必要はない」ということをしっかりと理解した上で考えていく必要がありますね。
どうも風潮が「iPadのMac化」に流されているようで心配です。
さて,そんな中,これまでのiPad OSの弱点であった「マルチタスク画面」に関して,朗報が届いています。
iPad OS14では,「Slide Over」と「Split View」が進化する?
意外に不便だった「ホーム画面でSlide Overできない」という事実
記事によると,iPad OS14では,
・ホーム画面でのSlide Overをサポート
・Split Viewで最大3つのアプリを同時に表示できる
ということです。
いや〜,これは朗報ですね。
例えば。HomePod画面上から写真アプリやメモアプリをSlide Overして,確認を取りたいような場面も多かったわけですが,これまでは何かしらのアプリを立ち上げてからの利用しかできなかったわけです。
「確認」という意味合いで言えば,何らかのアプリを起動する前に,「素材確認」を行うことはごく普通に行われるわけで,それができなかった時点で不都合を強いられる感覚がありました。これまでのiPadは作業向きであり,「推敲向き」ではなかったのだと考えます。
また,Macではごく普通に行われているマルチ画面での作業においては,これまでのiPadでは「2画面限定」での作業を強いられてきました。これもiPadでは「創作的な思考を分断させる」と感じてきた要因です。
これが「3画面まで開ける」となると,まあ可能性が広がることにはなるでしょう。
しかし,この点に関しては,画面の形やサイズ,切り替え等の面でマット比較するとまだまだ大きすぎる制限が残ったままですので,やはりその機能も「中途半端」「限定的」という範疇からは抜け出せていないわけですが…。
より明確化するiPadの立ち位置
今回のiPad OSでは,これまで同様,「よりPCに寄せた」進化が見られるようです。
しかし,前述したように,完全に「OSが融合」しない限り,この「寄せる」「近づける」「機能を付加する」という程度の連携しかできないことは明確です。
このことは,別に悪いことではなく,元来のMacとiPadとの役割の違いからするとむしろ好ましいこととも受け取ることができるでしょう。
Macは何の制限もなく,キーボードをマウスという入力機器を活用して,やりたいことの全てを,やりきることのできるマシン。多様な素材を材料にし,その受け渡しや表示方法等に何のストレスも無く,自由に創作活動が行えます。
対するiPadは「決め打ち」のマシン。
「〇〇がしたい」という,明確なタスクがある場合に,そのシングルタスクをやり遂げる場合には何の不自由もありません。もちろんパワーも十分。1つの目的を達成するために,1つの行程をやり遂げる…。そんな使い方に適したのがiPadなのだと考えます。
そして,その明確な目的として「手書き入力」の大きな武器になるのがApple Pencil。これはMacでは使えませんので,必ずしも「Macの方がiPadよりも優れている」ということでもないわけです。
あくまでも「使い方」「目的」次第…。
我々も,「iPadがMacに近づいたから…」といって何気なく飛びつくのではなく,「何をしたいのか」という目的と,「それを行うためにはどのデバイスがふさわしいのか」という解決方法とを照らし合わせて,取捨選択している必要があるはずです。
そして,その「選択力」が,今後ますます重要になってくる傾向は強まっていくことでしょう。
Appleも,「Mac = iPad」ではないことを踏まえた上でのアピールをしていく必要があるはずです。
特に今年の宣伝を見ていると,以前のような「分別」がやや薄れているような懸念も感じましたので…。