七月隆文「100万回生きたきみ」読了
七月隆文さんの最新刊、「100万回生きたきみ」を読了しました。
七月さんの純愛もの…ということで、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の再来を期待して読み進めましたが…。
う〜ん、展開的にも、内容的にもなかなかに精神性が高いような作品になっており、私にはとっつきにくかったかな…と感じました。
ゆるく、甘い感じが苦手な方には合うのかな?
終わりなき悲恋の呪いを解いたのは?
事の発端は、2500年前。
フランスの近郊、ケルト地方。
武勇で名をはせる20歳の若者、「タラニス」。
国王から竜退治を命ぜられ、死を覚悟した討伐へ…。
それに同行したのが、17歳の女性吟遊詩人である「ミアン」。
どうです?
このあたりでどうも香ばしくなってきます。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、聖剣を授けた女神との約束を破ってミアンを愛してしまったタラニスは、タラニスとしての意識をもちながら、様々な生き物に生まれ変わらなければならない…という呪いをかけられてしまい…と、展開していきます。
「1000001回目」の人生は、現代の日本。
三善光太と安土美桜のラブストーリーが、本作のメインストーリーとなります。
この2人の関係性は…、当然察することができるでしょう。
これまでの愛する人を思う気持ちが、現代でどのような結末を迎えるのか?
呪いから解放される方法があるとすれば、それは何なのか?
ちょっとばかり現実離れしたラブストーリーをお望みの方はこの先を体験してみてください。
私は… 精神的に少々疲れたかな?
個人的には、かなり偶像的で精神性の高い物語設定になっており、読了後は少々精神的な疲れを感じました。
もちろん、そういった方向の作風を好まれる方もいらっしゃるのでしょうが、まあ一般的なラブストーリー的な書きぶりではありません。
七月さんの書く文章自体、やや癖のようなものは感じますが、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」にしても「ぼくときみの半径にだけ届く魔法」にしても、本作ほど現実離れしたテーマ性ではなかったので、正直戸惑った面が大きかったです。
このような、作家さんの新たな一面を知ることで「そこも好き…」と捉えるか「そこは苦手…」と捉えるかという、選択を迫られるような場面は、あまり体験したことがなかっただけに、七月さんの「多様性」を感じられただけでも勉強になったかな…という思いです。