カスタム/CUSTOM/でいこう😎

50おやじが,お気に入りについて気ままにつぶやくページです。

垣根涼介最新刊「極楽征夷大将軍」 5月11日発売!〜やる気なし、執着無しのダメ人間「足利尊氏」は何故将軍になれたのか?〜

垣根涼介最新刊「極楽征夷大将軍」 5月11日発売!

 今年は4月13日に、村上春樹さんの6年ぶりの新作「街とその不確かな壁」が発売されますね。
 前作「騎士団長殺し」から早くも6年が過ぎたのか…と感慨深いものさえ感じます。

 

 村上さんの作品といえば、難解ではありますが、その裏に隠された真意のようなものを読み解いていくような謎解き感も楽しみのひとつ。70歳代になった村上さんが何を伝えようとしたのかが非常に気になるところです。

 

 そして…。
 その1ヶ月後、私の大好きな作家さんである「垣根涼介さん」も新刊を発表することが分かりました。
 そのタイトルは「極楽征夷大将軍」

 

今度のターゲットは「足利尊氏」!

 最近の垣根さんは、以前のようなハードボイルドもの、お仕事ものではなく、「歴史小説」に振り切っています。

 これまで、「光秀の定理」「室町無頼」「信長の原理」「涅槃」と、立て続けに名作を4作発表していますね。
 前作「涅槃」は隠し球とも言える「宇喜多直家」が、戦国の世にどのように宇喜多家を守り抜いたか…といういわば「隠し球的」な題材でした。

 

 そして5月11日に発売される「極楽征夷大将軍」の主人公は「足利尊氏」です。
 そこに目を付けたか…という意味で言えばこれも「隠し球」といえるかも…。

 本作は、文藝春秋社の「オール読物」で「2020年5月〜2022年11月」までの1年半にわたって連載されていたもののようです。

 

 出版社の内容紹介を見ると、

 

やる気なし
使命感なし
執着なし
なぜこんな人間が天下を獲れてしまったのか?

動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。
足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。
一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕府の樹立を画策し始める。

混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか?
幕府の祖でありながら、謎に包まれた初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。

 

となっております。

 ここで「?」となるのが、足利尊氏の人物像です。



 本作では「やる気無し」「使命感無し」「執着無し」として、もはやダメ人間的に描かれるようなのですが、これまでの私のイメージとはかなり違っていたために驚きました。
 ただ、これまでの歴史小説での実績を考えると垣根さんの取材力は半端なく、何気ない人物設定を基に作品を書き始めるような人ではありません。どうやら本作を読むことで、新たな尊氏の姿が浮かび上がってきそうです。

 ただでさえ鎌倉時代から室町時代というのは、歴史上のうねりが大きすぎて一筋縄ではいかない部分が大きいという印象があります。本作では垣根流の解釈がされることになりそうです。

 

重厚かつ、人垂らし的な人物描写が楽しみ!

 垣根さんの書く歴史小説は、特に人物の心理描写が繊細であることが大きな特徴となっています。
 「何故そのような決断をしたのか」という部分を、小難しい説明的な文章で補うのではなく、あくまでも物語の流れの中で、しかも心理描写によって読者に納得させるのです。

 この部分が垣根さんの力量の高さだと思いますし、重厚で難解な事柄を描写しているにもかかわらず、文章に吸い込まれていくような「人垂らし的」な書き味は癖になること請け合いです。

 是非とも「新感覚歴史小説」として、垣根さんの一連の作品を読んでもらいたいと思います。

スポンサーリンク