イヤピース、選択の幅を広げる
Noble Audio「FALCON MAX」のレビューをしております。
ここまで、「到着編」「音質ファーストインプレッション編」「イヤピース選択編」を書かせていただきました。
「音質ファーストインプレッション編」でも書きましたが、この「FALCON MAX」、音質(私の好みという部分も大きいですが)で言えば現行機最良の選択になり得ると考えます。
年末に、様々なYouTuberさん達が「2023年のワイヤレスイヤホン」のランク付けをしておられました。
その中で、第1位として多かったのが「Technics EAH-AZ80」でした。音質と使い勝手の総合ではNo.1…という声が多かったです。
ただ…。
「FALCON MAX」は外音取り込み、ノイキャン等の「使い勝手」の面で点数を伸ばせなかったのにもかかわらず、「音質面」では総じてトップの位置付けで総合の上位に入っている…という結果も共通でした。
私は「EAH-AZ80」は聴いたことがありませんが(先代機は購入→売却)、恐らくFALCON MAXを超えるほどではないと予想します。単純に解像度バリ高の美音を鳴らすだけでなく、FALCON MAXの空間表現はさすがに真似できないと考えますので…。
音場、立体感、定位のよさ、音の響き等、FALCON MAXは「音作り」そのものが崩壊していないのです。これ、ワイヤレスイヤホンでは初めての体験と言えるもので、音の「素性」がいいのです。
個人的には、ノイキャン等の他の要素を重視する場合は他のイヤホンを使いますし、私がメインで追求しているのはとにかくレベルの高い「自分好みの音」。音質最優先。
その意味において、「FALCON MAXはしばらくの間無双するのでは?」と感じてしまうほどに優れております!
さて…。
そんなFALCON MAXの高音質を堪能するためには、「イヤピースの選択」が非常に重要であるということを前回お伝えしました。
現状私の耳にフィットしているのが「SONYのハイブリッドイヤピース/Lサイズ」。
通常のイヤホンであれば、「小さすぎる」サイズなのですが、ノーズが長いFALCON MAXは、これまでの常識が通用しないことが判明しました。
そこで、急遽「SednaEarfit Crystal」の「ML/M」サイズを購入し、試してみることににしました。
"EXLASTIC"はどうだ?
これまでは「EXLASTIC」を使用してきましたが、「Crystal」という新商品が出ているようです。特殊シリコンでできており、耳にペタッと貼り付いて上手に音を伝えてくれるのが特徴。私がこれまでメインで使用してきた「AVIOT TE-J1」は従来品の「EXLASTIC」がベストフィットでした。
「もしかするとSONYハイブリッドイヤピース以上の音になるのでは?」
という期待を抱きながら、これまで使用してきた「Lサイズ」のサイズダウン版を試してみることに…。
今回購入したのが、「SednaEarfit Crystal」の「L、ML、M」の3種セット。「Lサイズ」はEXLASTICでは低音過多でしたので、勝負は「ML」「M」ということになります。
「ML」の印象はなかなかいいです。SONYのハイブリッドよりもやや低音がせり出しますが、Lサイズほどは気になりません。また、SONYよりも中音が前に来る印象です。
SONYでほんのちょっとだけ不満だったボーカル帯のせり出しが改善されたのですが、中・高音がSONYよりもやや出てきたことで、SONYで最高の表現をしていた「空間表現」がスボイルされました。
具体的に言うと、左右、前後ともに音場が狭まりました。また、SONYで音の微妙な震えまで聴こえた空気感がかなり弱くなった印象です。
この空間表現がこれまで体感したことないほどに優れていた「FALCON MAX」でしたので、この魅力が無くなってしまうのは大きなマイナスです。もちろん、Crystalがダメということではなく、非常に優れた音質ではあるのですが、音場や空間表現を重視する私にとってはSONYハイブリッドが「最高」ということになります。
「M」は「ML」「SONYハイブリッドイヤピース」よりもかなり低音が弱まってしまいます。ボワ付かず、悪目立ちすることはしないものの、艶のある音を表現することができるFALCON MAXのよさを最大限発揮しているとは言えない状況です。
また、高音の強さが目立ち、音作りのバランスがやや崩れている印象。「高音好き」であれば、FALCON MAXの最大の特徴を楽しめるかとは思います。ただ、純正のLサイズのチップとかなり音傾向が似ているような印象ですので、わざわざCrystalを選択しなくても…という気もします。
ということで…。
Crystalの「ML」とで迷いますが…。
私にとっては、「SONYハイブリッドイヤピース/Lサイズ」がベストフィットということになりました。
あの「空間表現」は、Crystalのようなひっつくほどペタペタするシリコン素材だと実現できないのかな?…とも感じます。
これ、何年も前のSONYハイブリッドイヤピースを後生大事にとっておいた自分に「ナイス!」と言ってあげたい気分です。
音質の最終評価は、純正アプリが登場してイコライザ等の調整がどの程度有効か?…ということを判断した後になりますが、現状でも100点近い満足度。
当然音質評価は現時点でもこれまでの最高評価…ということになっております。
※あくまでも今回の判断は「私の耳では」「私の好みの音で考えると」ということになります。是非とも様々なイヤピースを試していただければと思います。