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住野よる「告白撃」レビュー!〜ええとっ、短編小説で事足りる内容かな?〜

住野よる「告白撃」レビュー!

 住野よるさんの最新刊、「告白撃」を読了しました。

 住野さんにとっては、アラサーという大人の世代を初めて描く作品になる…という点で大注目でしたが、正直物足りなかった…というのが感想です。

 

 単純な感想を言うと、

「これだったら、短編にした方がかえって想像が膨らむのでは?」
「色々と学生時代の友人が登場するけど、何の意味があったの?」

というところでしょうか?

 

 結局は、最初と最後の場面だけあったら事足りるのでは?…というところに帰結しちゃうんだよなあ…。

 

告白させたい千鶴と、密かな思いを隠す響貴の自慰行為

 ストーリーとしては、結婚が決まった「千鶴」が、自分のことを好きだと確信をもって親友として過ごしてきた「響貴」に対して、『告白をさせて振ることで、自分への思いを引きずらないようにしたい』と思いをもち、これまた親友の「果凛」とともに『告白させるための作戦』を練り始める…というもの。

 

 まあ、アラサー周辺を登場人物とする物語としては、少々稚拙な動機づけから始まるのですが、この部分をどのように読み手に納得させるのか?…という部分で住野さんに期待していました。

 しかし、読み進めてみると、早々に千鶴と果凛の作戦は空振り。その後大学時代の複数の友人も登場して、「みんなで響貴を告白させよう」とする異様なモードに入るのですが、これも失敗。

 

 最終的には、千鶴の結婚式という最終盤で、千鶴自らが響貴にしか分からないメッセージを託し…ということで一応のハッピーエンドを迎えます。

 ここで感じるのが、
「だったら、千鶴と響貴以外の登場人物は必要ないんじゃ…」
ということ。

 実際、二人思いを互いに確認する上で、他のメンバーはさほど重要な役割を果たしていないように感じました。

 

 だとすれば、いっそ短編小説にし、登場人物も千鶴と響貴に絞ってしまった方がキリッとした小説に仕上がるのでは?…と考えてしまいます。

 

 アラサーという二人の思いがこれだけ幼稚にこじれているのも不自然ですし、その気持ちがほぐれていく過程も決して納得できる描写がされているわけではありません。巡り巡って最後は一言のメッセージで全てが解決…というのはちょっと解せません。

 

 アラサーを描くということで、これまでの住野作品よりも深い人物描写を期待しましたし、それを描く上で住野さん独特の表現が重なり合うことで、新感覚の恋愛小説になるのでは?…と期待していたのですが、正直残念な結果となりました。

 

 まあ、当然私の読みが甘い…ということはあるでしょうが、ふと考えたときに、以前の「青くて痛くて脆い」も同じような未消化な思いを感じたのを思い出しました。そして、青くて…も本作も、出版元は「角川書店」です。

 偶然かな?

 それとも必然かな?

 

 大事なのは、ストーリー展開や、登場人物の関係性が、エンディング時点において必然性があったと納得できるか?…ということだと思います。これ、最低限の条件。

 その上で、ストーリーや感情描写の優れている部分を探したいのが読書という行為です。

 

 本作はその前提部分がやや弱いかな…という印象を受けました。

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