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七月隆文「天使の跳躍」が描くのは棋士の世界〜ブームに乗った新機軸は成功するのか?〜

七月隆文「天使の跳躍」が描くのは棋士の世界

 「七月隆文」という名前を聞いて私が思い出すのは、なんといっても「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」です。

 やや現実離れしたタイムリープ恋愛モノですが、互いを思いやる心情の描き方、今この一瞬にかける思い等、心に迫る繊細な七月さんの書き味を存分に味わうことができます。
 傑作だと思います。

 

 また、映画版がまた見事。
 福士蒼汰さん、小松菜奈さん主演ですが、「映画化が原作をぶち壊す」ということが全く無く、正にイメージ通りの作品。

 映画版では、原作にはなかった福士さん演じる高寿の実家シーンが付け加えられましたが、これが作品の切なさを増幅させており、映像化で付け加えたことによって成功した非常に稀な例ではないか…と考えております。

 

 というように、元来ラノベ出身の七月さんですので、恋愛モノが主戦場。
 ただ、「ぼくときみの半径にだけ届く魔法」では、ラノベ色を残しながらも本格的な恋愛モノにまで仕上げてている印象を強く受けます。

 

 そんな七月さんが新作を発表するわけですが、なんと今回は「将棋の世界」がテーマ。
 この展開にはちょっと驚きました。

 

ブームに乗った新機軸は成功するのか?

 文藝春秋の紹介文によると、

それは誰もが絶望する、中年棋士のラストチャンスだった

知られざる将棋のタイトル戦を舞台に繰り広げられる、感動の人間ドラマ。
恋愛小説の金字塔を立てた著者が開いた、新境地。

40歳までタイトルを獲れなかった棋士は、引退まで無冠に終わるーー。
それが才能と加齢による限界がもたらす、将棋界の残酷な歴史。
田中一義は46歳。かつて5度もタイトル挑戦に敗れ、あと一歩で栄冠に届かなかった「悲運の棋士」。それでも諦めずにきた彼に奇跡が微笑み、念願のタイトル挑戦権を手に入れた。
だが迎え撃つ相手は「令和の王」ーー源大河八冠。まだ一度もタイトル戦で敗れたことのない、全盛期の若き天才。
それは誰もが絶望する、中年棋士のラストチャンスだった。

家族と戦友、元天才の弟子との絆、初恋と、青春の残光……これまでの人生のすべてを星のごとく燃焼させた一義は、神の子に届くのか。

熾烈な才能の世界と家族愛をみごとに描いた傑作。

とのこと。

 

 まあ、明らかに、藤井聡太さんによる将棋ブームに乗っかっているようです。

 このあたりは様々な意見がありそう…。

 

 ただ、主人公は「八冠」の方ではなく、中年になって若き天才に挑む無冠の棋士のようです。まあ、これもテーマとすればありきたりな感を受けますが…。

 

 あまりにありきたりなテーマを、七月さんがどのように描くのか…。注目はその一点ですね。
 また、「ぼくときみの半径にだけ届く魔法」では、単純な恋愛ものではなく、人生観をバックグラウンドにした作品づくりがされていました。本作のテーマが「将棋」ということで、思いっきりそちら側にベクトルが触れることは必至でしょう。

 「恋愛」以外をメインテーマとする作品を、七月さんがどう料理するのか?

 また、そこにこれまでの七月流の文章表現がどのように生かされるのか?

 

 「天使の跳躍」。個人的には大注目の作品です!

 

 おまけ。
 発売を前に藤井八冠が「七冠」になってしまったことは触れずにおきましょう…

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