「Px7 S3」と「Px8 S2」との比較で悩む
Bowers & Wilkins「Px8 S2」を導入しました。

そして、その総合性能の高さには驚きました。
前回の「取って出しの音質評価編」では、以下のように評価させていただきました。

○初代とは打って変わって、中・高音が前に出て華やかさを感じる。
○中・高音部の伸びも素晴らしく、女性ボーカルも気持ちよく聴ける。
○かといって低音が不足しているわけではない。万能型にチューニングされているだけであって、締まりのある豊かな低音はさすがBowers & Wilkins。量もしっかりキープされている。(私はPx8 S2でもイコライザーで低音を削っている)
○「Px7 S3」は中・高音域に元気のいい部分が「点在」している…という印象だが、本機は全域で明るめのサウンドを楽しめる。
○音場は「広大」…というわけでもないが、Bowers & Wilkins独特の「かといって不足は全く感じない」という魔法のチューニングがされている。「全体の見通し」という点では「Px7 S3」よりも相当向上している。
○音の解像度・分離感は「Px7 S3」より優れ、定位も安定しているため、ヘッドホンとしての力はかなり高い。かといって過度に強調される部分は無く上品にならすため、聴き疲れは少ない。
☆USB-C接続で聴くと、ほんの僅か解像感が増す。「Px7 S3」はBluetoothとの差が非常に大きかったが、本機はその差が非常に小さくなっている。
☆「Px7 S3」同様、ノイズキャンセリングモードにすると低音が増す。個人的には量感がありすぎる低音は苦手なので、ここがマイナス。結構な違いなので…。できるだけノイキャンOFFで聴きたくなる。
△本当に隙の無い素晴らしい機種なのだが、「もうすこしボーカル帯が主張して欲しい」と感じる曲もある。次回まとめるが、「Px7 S3」の影がちらつく場面が少なくない。
△これも「Px7 S3」との比較(次回説明)だが、「見渡しのよくなった音場」が必ずしもいい方向にばかり向いているとは言えないケースも感じられた。
ただ…。
殆どの人はトータルで考えると「Px8 S2が素晴らしい!」と言うのでしょうが、「ボーカル特化」で聴いている私からすると、「Px7 S3」のよさも捨てがたくて非常に悩んでいるところです。
何が…というと、
「ボーカルの主張の仕方」
につきます。
両機種、全く性格が異なるのです。
Bowers & Wilkinsという同一の会社でありながら、ここまでチューニングが違うとは…。全く罪なことをしてくれるものです。
ボーカル帯が気持ちいい「Px7 S3」と、万能型の「Px8 S2」
あまりに悩んでいて、うまくまとまらないかもしれませんので徒然と…。
○音全体の見通しがいいのは「Px8 S2」。ただ、「音場が広がった」という一般的な感覚では無く、あくまでも「見通しがよくなった」ということで、違った見方をすると遠くから音場全体を眺めている(こぢんまりと感じてしまう)という見方もできる。
○これに対して「Px7 S3」は、主役は「ボーカル」であり、本当に耳元で歌っているようなチューニング。中音域の張り出しもあり、聴いていて非常に気持ちいい。かといってボーカル以外の音域が物足りないわけではなく、トータルとしても完成させている。「Px8 S2」とは方向性が全く異なる。むしろ「Px7 S3」の方が音楽の広がりを感じる場合も多い。
○音の解像感、情報量は「Px8 S2」が優れる。ただ、「Px7 S3」でも十分。元気のよさがカバーしてくれる。
○「Px8 S2」も初代から比べるとボーカル帯のせり出しは認められるが、「Px7 S3」とは全く考え方の異なる音になる。非常心地よく聴ける曲がある反面、やはりボーカルの主張が物足りなく感じる曲も少なくない。もう少しだけ出てきてくれるとかなり印象が異なると思うのだが…。
このように書いていても悩みは深まるばかりです。
音の素性そのもの、トータルとしての音質は完全に「Px8 S2」が勝っています。これは間違いない。
ただ、歌ものを聴くと「Px7 S3」の耳元で囁くような歌声の魅力が忘れられない…。
これが、アーティストや曲ごとにコロコロと印象を変える…というのがやっかいなところです。
ここまで迷うのは初かも…。
できれば一本化して、もう一方を売却しようと考えていただけに、戸惑っているところです。
もうすこし期間をおいてじっくり聴き込んでみようかな…。