iPhoneXSのポートレートモードを「風景」で生かす
これまでに,iPhoneXSにおける「ポートレートモード」の魔法感と,致命的な弱点について紹介してきました。
特に前回の「コスモス」撮影では,もろにその弱点が露呈していまいましたね。
しかし,「被写体選び」を考えると,このポートレートモードが「風景」の撮影においても使える機能となり得ることが分かりました。
今回は実際の写真を見ながら考えていきたいと思います。
「コスモス」VS「柿」?
まずは前回紹介した絶望的な「コスモス」の写真。
ニューラルエンジン側の「被写体との距離」「平面の広さ認知」「深度の階調性」等の認識から,特定の場面で致命的な判断ミスを下すことがあるようだということを前回まとめました。
中心となる被写体が小さかったり,周辺に細かい物体が乱立していたりすると,このようにAIがうまくぼけさせることができなくなるようです。
そういう意味で,正に「コスモス」は「最難関」の課題だったといえましょう。
しかし,近くにあった「柿の実」を撮影した写真を見てください。
どうですか?
若干の違和感はありますが,許容範囲では?
もう少し絞ると,背景との違和感が減るのかもしれません。
さらに…。
iPhoneXSの通常広角モードでは,「光学2倍」の画角で撮影することができます。
通常のデジタル一眼の感覚では,「焦点距離が2倍になると相当にぼけ量が変わる」と捉えられます。
つまり,「より望遠的」に撮影できるようになるということ。
このモードでポートレートモードのように背景がぼけてくれたら,わざわざ「ポートレートモード」を使わなくていいのです。
ということで試してみます。光学2倍モード。
だめだ,こりゃ…。
背景がうるさすぎて,主役の柿の実が全然目立ちません。
まだまだ背景のぼけ量が全く足りていないのがよく分かりますね。
では,同じが画角で「ポートレートモード」での撮影に挑戦。すると…。
どうですか,この美しさ。
主役の柿の実とその周辺の赤くなった葉が見事に切り取られ,背景がぼけることで見事に「望遠的」な写真となりました。
背景の緑,オレンジ,青のコントラストも美しい。
また,この写真に限っていえば,「ぼけの不自然さ」は殆ど感じません。
ノイズが少なくなり,白飛びが大幅に減ったiPhoneXSのカメラ性能が十分に生かせており,十分満足できる出来になっていると,私は判断します。
様々な要素を選択する「新たな写真撮影の楽しみ」
もちろん狙いどおりに背景をぼかした写真を撮影をするのであれば,マクロレンズや望遠レンズを駆使した一眼レフに太刀打ちできるはずもありません。
しかし,これ程までに進化したiPhoneXSのカメラ性能と,「ポートレートモード」という非常に野心的な試みを,放っておくのももったいない!
被写体の大きさ・広さ・太さ,被写体周囲の平面的な認識等を考慮に入れ,もしかすると「一眼レフ以上に」戦略的に撮影をしたとき,スマホで撮影したとは思えないほどの写真が撮れる可能性があるのではないでしょうか?(もちろん大きく拡大したり,大判のプリントアウトをしたりという分野でなく…)
自分としても,どんなものがうまくいって,どんなものがうまくいかないのかについて,今後も試していきたいと考えています。
また,恐らくAppleとしては,今後のiPhone後継機を発表するたびに,この「ポートレートモード」を進化・発展させてくることでしょう。
今後のアップグレードで,今回感じた「違和感」「限界」を吹き飛ばすくらいの「自然さ」を手に入れることができれば,「iPhoneのカメラはいよいよ万能になる」と評価されることになるのかもしれません。