「犯人に告ぐ」シリーズ3作目
雫井脩介さんの「犯人に告ぐ」は,「バッドマン」を名乗る犯人による連続幼児誘拐殺人事件に際し,警察側の巻島史彦が,ニュース番組に出演して「劇場型捜査」を行うというストーリーでした。
「劇場型捜査」というやり口が新鮮だったとともに,主人公である巻島の挫折等の人間くささもえがかれており,評判になった作品でした。
この後,「犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼」が出版。
活躍するのは巻島ですが,ストーリー的には前作と別物。「犯人に告ぐ」とありますが,今回は「劇場型捜査」もナシ。
ちょっと意表を突かれたのを覚えています。
そして今回はシリーズ3作目。
「犯人に告ぐ3 紅の影」が,8/23に発売です。
「犯人に告ぐ」シリーズとは何なのか?
内容説明を見て見ますと…。
「横浜の洋菓子メーカー〔ミナト堂〕の父子を誘拐した〔大日本誘拐団〕の実行犯逮捕から間もなく、神奈川県警特別捜査官の巻島史彦は、主犯格と見られる淡野を追っていた。一方、捜査の手をかいくぐって逃げ延びた淡野は鎌倉に潜伏し、警察を出し抜く新たな犯罪計画を立てていた――。大人気警察小説シリーズ、待望の第3弾。」
となっております。
前作「闇の蜃気楼」では,主犯格の淡野が逃走する形で終幕しており,どうやらその続編という位置づけのようです。
ここでそもそもの疑問なのですが…。
「犯人に告ぐ」シリーズとは一体何なのか…ということです。
「劇場型捜査」を銘打った1作目であれば,正にそのネーミングが生きることになります。
しかし,2作目は全くそのような気配はなく,しかも,捜査側というよりも犯人の若者グループ中心の描き方がされていました。
2作目中に,1作目の「バッドマン」の正体を疑わせるような巻島の回想シーンがあり,こちらが本シリーズの核になるのか…と思いきやそうではなかったようで…。
今回の「紅の影」で,もし「劇場型捜査」「バッドマン」との絡みがなかった場合,シリーズのネーミングの意味合いが問われることになると考えます。
たまたま名付けた「犯人に告ぐ」という1作目の評判がよかったために,その名前を流用してシリーズ化したのだとすれば,ある意味で読者を期待させて…という手法と捉えられても仕方ないのではないでしょうか?
「犯人に告ぐシリーズ」をサブタイトル化した方がいいのでは?
まだ読んでいないわけですが,きっと「劇場型捜査」も「バッドマン」との繋がりもないのではないかと予想します。
淡野との対決を淡々と描くのでは…?
だとすれば,東野圭吾さんの「新参者シリーズ」や,黒川博行さんの「疫病神シリーズ」のように,表題は別物にして,シリーズ名をサブタイトルで表記するようにした方が読者に誤解を生じさせないのではないかと考えます。
実際,1作目同様の内容を期待して2作目を購入したら,考えていたものとは違った…という意見が多かったようでしたので,提案をさせていただきました。
☆追記8/22☆
★レビュー追記 9/3★