日本を支えてきたカメラ会社にエールを込めて…
スマホカメラの急速な発展と限界を考え,いつでも手にできるフルサイズ一眼を手にすべく,Canon「EOS RP」を発注したことをお伝えしてきました。
実機が届くまでの間,「EOS RP」を選択した理由について様々な面から書かせていただきます。今回は「デジ一の今」について…。
フィルム一眼レフを楽しんできた我々にとって,デジタル一眼レフはまさに羨望の品でした。
1999年,Nikonがどうにかこうにか一般のユーザーが手を出せる範囲の価格で「D1」を発表しました。それでも60万超え…。
私が初めてデジタル一眼を手にしたのは2002年の「D100」です。初デジ一としては,恐らくこの機種を上げられる方も多いのでは…。当時のデジタル一眼は,それこそ黎明期のスマホのように,新機種が出るたびに機能が増えるとともに,何よりも画質が改善されていきました。
私もこの後,「D70」「D2X」と進み,当時のNikonの肌色に不満を覚えてCanonに鞍替え。「EOS5D」「EOS40D」「EOS5D2」と買い換えました。
そして,この頃になると,現在のスマホのように,基本性能としてはほぼ安定してきて,暗所性能等の一部の画質しか変化が無くなったと判断し,それ以降5D2を使用するとともに,少しずつ写真に対する興味も薄れていきました。
そうしているうちに,世はスマホブームに…。
「こだわりが無ければスマホのカメラで十分」という時代が到来してしばらく経ちますね。私とすれば「プリントアウトするのだったら一眼」という線は譲れませんが,一般の方々の意識はそうではありません。
その結果としてこれまで世界に誇れる立場を築いていた日本のカメラメーカーの実情はどうなったか…。
そんな記事が来ています。
正に「右肩下がり」の販売実績…
この記事には,近年の「デジタルカメラ販売台数指数推移」のグラフが掲載されています。これがそのグラフ。
正に衝撃的です。
これ程見事なものはない,というくらいの「右肩下がり」。ピーク時の1/5にまで落ち込んでいるのです…。
当然カメラメーカーの利益も大幅に減少し,Nikonは等々赤字に突入したとのこと。CanonとNikonといえばこれまでの「カメラ」を支えてきた両巨頭です。当然両者ともカメラ事業以外の分野で生き残りをかけているようですが,それでも大黒柱がカメラ事業であることには変わりありません。
この両者が,これまで世界のトップに君臨してきたのは,カメラが本体だけではなく「レンズ」の影響を大きく受けるからです。これまでの考えでは,高画質の写真を撮るためには,デジタルセンサーの高性能化はもちろんのこと,光学的に優れた「レンズ」が無くてはなりませんでした。この分野でNikonとCanonに迫るメーカーが存在しなかったわけです。
しかし…。
スマホ時代になり,一眼という巨大なカメラで無くてもある程度の写真が撮影できるようになりました。また,デジタル処理で画質をいくらでも加工できるようになり,以前ほど「レンズ」のありがたみを感じる機会が減少してきたことも事実です。特に画質にそれほどこだわりをもたない,大多数のユーザーにとっては。
まず最初に淘汰されたのは「コンパクトデジカメ」です。スマホのカメラで事足りると捉えられるようになったのです。CASIO等,昔は幅をきかせていたメーカーも撤退し,現在は一眼か,スマホか,という両極端な傾向にあるようですね。
そしてついに,スマホカメラの性能が「デジタル一眼」の領域に迫りつつあります。ここで問題なのは,一般的なユーザーが「スマホで十分」と言えるほどにスマホカメラの性能が上がってきていること。
画質にこだわって見れば,どう考えても一眼の方が有利ですし,実際の画質も完全に一眼の方が上なのですが,「小さいサイズしかプリントしない」「そもそもプリントアウトせずにスマホやPC上でしか見ることがない」という,ライフスタイルの変化が,現在の状況悪化に拍車をかけているのではないでしょうか?
本質を見つめ,抵抗してみよう…
そんな中,私はあえて「EOS RP」に投資しました。
画質に満足できないながらも,「このくらい写ったらいいか…」と考え始めていた自分に,「いやいや,やはりフルサイズセンサーでの画質とは全く違うのだから,そこにこだわらなくちゃダメだ!」と語りかけるもう1人の自分がいたのでしょう。
時代とは逆行するのかもしれませんが,もう一度「画質のよさ」「写真を撮ることの楽しさ」を味わって見ようと思います。
オヤジだからこそのこだわりかもしれませんが…。