DEVIALET「GEMINI II」 取って出しの音質評価編
DEVIALET「GEMINI II」のレビューをしております。
ここまでは、「購入動機編」「到着編」をお届けしてきました。
価格が価格だけに、高級感たっぷりのケースだったわけですが、その値段分だけ「音質」に振っていただきたい…というのが本心です。
あくまでも音質本意が本ブログの精神。
前回も書きましたが、この「GEMINI II」は音質レビューでの評価が割れ気味です。「いい音」という評価は一定してるのですが、その解像感や各音域の出方に関する感想は様々なんですよね…。
いざ、ドキドキしながら取って出しの音質評価です。
これは…リスニング系の王者だ!
先日購入して非常に高い評価をしている「FALCON MAX」の後にこのGEMINI IIを聴いたわけですが、あまりの音傾向の違いに驚いてしまいました。
キリキリと音を立てるくらいに解像度を際立たせているFALCON MAXですが、これに比べるとGEMINI IIの音は随分ゆったりと聴こえます。ただ、この驚くべき違いは両者が逆方向に振り切っている個性をもっている故であり、耳を一旦リセットした状態で聴き直すと、GEMINI IIの化け物度合いがはっきりと分かってきました。
◎完全なリスニング系。
〇FALCON MAXと比較して、音の厚みが圧倒的。「ダイナミックドライバー一基」という構造上のよさを存分に発揮している。
◎基本的に低音が中心の音であるが、不思議とこの低音が中・高音の邪魔をしない。厚みはあるのだが、悪目立ちしないような、ライブで聴いているような自然な低音。
◎特にボーカル帯の中音が美麗。近くで鳴るため、耳元で囁くような歌声を奏でる。音の厚みがあるため、肉厚であり、伸びやかで艶のあるボーカル。これは最強!
◎高音は低・中音ほどは目立たないが、自然と繫がっており、しっかりと主張はする。決して高音が弱点になるというものではない。煌びやかさと伸びのよさはしっかりと備えている。
〇△「解像感」はFALCON MAXよりも相当劣る。しかし、音造りが非常に自然であり、元来の解像度も高めであるため、こちらの方が正解では?…という気もしてくる。完全に好み。
〇△音の輪郭はFALCON MAXと比べるとやや丸め。よって、「一つ一つの音がどこで鳴っているか」というような分析的な聴き方においてはFALCON MAXが圧倒的に優れている。GEMINI IIはリスニング系の音であり、しかも際立って解像度が高いというほどウリにしているわけではないので、全体的に埋もれて聴こえるという傾向があることは事実。しかし、音は自然。ライブで聴けば恐らくGEMINI IIのように聴こえる。
〇△音場に関しては、FALCON MAXの方が広い。GEMINI IIが狭いというわけではないが、音の解像感がFALCON MAXよりは劣るため、小さめのドームのような聴こえ方がする。まあ、それでも他のイヤホンに比べると広いと言えるが…。
〇△横もややFALCON MAXの方が広い。GEMINI IIの縦方向は特に一体化して聴こえがちであるため、音源によっては「ダマ」になって聴こえる場合もある。
◎低・中音域の音の響きが抜群。音場がそれほど広く感じないのにもかかわらず、決して縮こまって聴こえないのは、この音の響きや余韻による部分が大きい。
△欲張って考えると…。もう少し解像度や分離感を高め、音の見通しがよくなると無敵かも。これが適うと縦方向の立体感も増すだろう。でも、ここあたりがダイナミックドライバーの限界か?…とも感じる。
「心地よさ」という面においては最強のワイヤレスイヤホンだと言えます!
しかも、一定以上の解像感、音場の広さを有した上での低音に下支えされた気持ちよく、艶と深みのある音作りであるため、ある意味「リスニング系の王者」と言えるほどの出来映えかと…。
「音質最強」というレビューが多いのも分かります。
音質で言えば、この価格もしょうがないかと…。
このイヤホン…。
聴き手によって、「低音が支配するイヤホン」となるか「低音が響きながらも、実は主役は中音」となるか、異なるのも理解できます。
聴き手が何を重視するかによって、優れていると主張するポイントがずれてくるのです。
つまり、どの音域をとっても卓越した実力を有している…ということ。
懐の深いイヤホンだと言えますね。
リスニング系で最高の音を求めているのであれば、この「GEMINI II」で満足できるのではないでしょうか?
さて、このGEMINI IIですが、付属のイヤピースだと安定しない…という声をよく聞きます。
ただ、他社製のイヤピースを付けると、充電ケースに入りきらない…ということも発生するため、注意が必要です。
そんな中、いつも私がこだわっている「イヤピース選び」も困難を極めました。
次回は、あくまでも私の耳には…ということにはなりますが、上記のような最高の音を聞き取るために選択したイヤピースをお知らせします。