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藤原さくらさんが新譜「wood mood」に込めた思いを探る〜「encore」のインタビューから〜

藤原さくらさんが新譜「wood mood」に込めた思いを探る

 先日、藤原さくらさんの新譜「wood mood」が届いたことをご報告しました。 

 

 思いっきり「ジャズ回帰」した本作「wood mood」。
 藤原さんの曲をデビュー当初から聴いているのであれば、「full bloom」「à la carte」の頃の英詩曲とダブらせながら聴いた方も多いのではないでしょうか?
 もちろん、ジャズベースの曲とは行っても、かなりベクトルは異なっているようには感じますが…。

 

 そして、そこに違和感をもってしまいました。
 以前記事にしたように、ここ最近の藤原さんは、独特の「藤原節」を残しながらも、エレキや打ち込み、ラップ等の様々な要素を進んで取り入れることで進化を遂げようとしている…と感じていたからです。

 

 その急激な進化ぶりに驚くとともに、
「このまま、藤原さんの根底であるJazzyな雰囲気が無くなっていったらどうしよう…」
と、正直心配になっていたことも事実です。

 

それなのに、これまでの傾向とは真逆な方向で、

「何故急にここまでジャズに振り切れた作品集を仕上げたのか?」

 

 そんな折り、丁度その核心に触れるインタビュー記事を見付けました。
 藤原さんの思いが伝わってきます。


改めて“自分がやりたいことって何だろう?”って振り返ると…

 まずもって「wood mood」制作の動機を、

「みんなに“ここはどこだろう?”、“この植物、見たことないな”、“変な鳥の鳴き声が聞こえるね”っていう感覚になってもらえるような作品を作りたくって…」

「改めて“自分がやりたいことって何だろう?”って振り返ると、高校生からずっと聴いていたジャズやワールドミュージックの雰囲気を踏襲したアルバムを作りたかった…」

と述べていますね。

 

 また、

「自分としては、突拍子もなくジャズに行ったっていうことはなくて。『AIRPORT』の制作をしながらも、ジャズの界隈の方とお仕事でご一緒することが多かったんです。」

と述べいます。

 

 つまりは、自分のルーツである音楽性と、多様な音楽との融合を図ることを念頭に前作「AIRPORT」までは突き進んできたものの、周囲との出会いから「原点回帰」を考えるに至った…というところでしょうか?

 

 また、

「今回は、生の楽器で “いっせーのせ”で録ることで化学反応が起こるような作品にしたいなって考えていました。」

ともあります。

 もちろん「打ち込み」で音楽性が広がる、自由度が増す…という考え方もあるでしょうし、そんな藤原さんの曲も非常に魅力的でしたが、本作「wood mood」の曲を聴いていると、何だか心が落ち着き、いかにも「藤原さくらの曲を聴いている…」という安心感を持つことができるのも事実です。

 

 個々の曲についても、本人から詳しい解説があります。

 

 「my dear boy」については、

歌詞は“生と死”について書いています。人間はいつかは絶対死ぬもので、だからこそ、今、生きているのが尊いなっていう感覚は自分の中でもあるんですけど、死ぬと、全部が終わりではなく、私は全てが繋がっていると感じています。だから、大丈夫というか…」

 

 

 「Close your eyes」については、

「いろんな意味があるんですけど、この曲は、木々や植物、花、鳥などの自然について歌っています。曲を作っているときに、思い浮かんだのが<光を見たの>というワードだったんです。ふっとお告げをもらうような感覚という意味での“光”なのかな…生きている中で、あの経験はこのためにあったんだって気づく瞬間というか、結び付くみたいなことがたくさんあって」

 

 「daybreak」については、

「・・・(「Close your eyes」の解説に引き続き)そういう光みたいなものを見逃したくないっていうことを「daybreak」でも歌っていて」
「考え方一つ違うだけで物事の見方が全然違ったりするんだっていう、発想の転換みたいなのも私にとっては“光”だなって思います。“」

 

「sunshine」「good night」については、

「去年の7月にお姉ちゃんが子供を出産して、おばさんになったんです。姪っ子が誕生したんですけど、新しい命に対して、すごい感動があったんです。涙が止まらなくて…“命ってなんて尊いんだ”って感覚になったときに、その感覚から書けた歌詞がかなりあります。「sunshine」で<あなたこそが私の太陽>って言ってるくらい、めちゃくちゃ強い光を感じています、彼女には。あと、「Close your eyes」の<遠いところで/赤子が泣いているの>も彼女のことで、“自然と人間は繋がっている“って感じたから書けた歌詞ですし、最後の「good night」も姪っ子に対して歌ってますし…」

 

「Thanks again」については、

「石若さんに曲を作ってもらって、“どういう思いで作ったんですか?”って聞いたら、“通り過ぎてしまった日々のことを振り返ることも大切にしている”っていう話をしてくれたんです。振り返ることによって、あのときよりは成長してる自分が見えたり、忘れかけていたものをもう1度思い出すことができたりする。」

 

 

 総じて、

〇このタイミングで自分自身の音楽に対する考え方を整理してみようと考えたとき、原点である「ワールドミュージック」「ジャズ」に立ち帰ろうと考えた

〇「異国感があるけど、どこか懐かしい気持ちもするし、おとぎ話のような気もする…」という音楽にするために、「自然」をテーマとし、生楽器での演奏にこだわった

〇貫くテーマは「光」。森の中に差し込む「光」を人生の中の生き方や希望になぞらえて曲作りをした

〇そして、生まれた「姪っ子さん」に思い切り影響された(笑)

ということでしょうか?

 

 この「wood mood」、地味な曲が続くように感じるのですが、1枚のアルバムを連続で聴くと、正に「一つの森の世界」が描かれているような感覚に陥ります。

 

 聴けば聴くほどそのよさを感じられること請け合いです。

 是非とも一曲単位ではなく、「wood mood」という一つの作品として聴いていただければ…と思います。

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