東野圭吾「マスカレード・ライフ」読了
東野圭吾さんの最新刊「スマカレード・ライフ」を読了しました。

マスカレードシリーズ第5弾として登場した本作の最大の関心事は、
「刑事からホテルマンへと転職した新田の活躍ぶり」
でした。
また、第3作「マスカレード・ナイト」では東野さんの強引なストーリー展開が目立ったのですが、前作「マスカレード・ゲーム」は肝心の推理的な部分でのストーリーに無理がなく、作品の質としても十分だと感じました。
果たして本作の満足度は?…という部分もにも注目しておりました。
その評価?
う〜む、どちらかというと「×寄り」かな?
本筋の事件があまりにおざなり… 新田と父とのストーリーばかりに目が行く結果に
本作は、「殺人容疑が掛かった推理文学賞の有力候補者の実態を暴くために警察に協力するホテル・コルテシア東京」のストーリーを本筋に、「弁護士である新田の父が抱える過去の事件」のサイドストーリーも同時並行的に進んでいきます。
まずもって違和感を感じるのが、「新田がホテルマンになってから最初の作品」なのにもかかわらず、そのあたりの描き方が非常粗末だ…という点です。もっと読者にインパクトを与えるような展開の仕方があっただろうに、さらっと入り、そのまま平坦に流れてしまいます。これでは前作までとさして変わりはないかと…。
折角のシリーズもの、そして折角の大きな転機の作品でしたので、もうすこし登場人物の感情を表現してもよかったと考えます。
そして、最大の不満が、「メインのストーリーである文学賞の候補者に関する事件」の解決方法が非常に強引だったこと。もはやトリックでも何でもなく、東野さんの思惑ですべてが解決されるというひどさで、折角読み進めたのが馬鹿らしくなるほど。これはダメです。
容疑者側の運命はなんとなく予想がつく…という幼稚なものでしたし、殺害された女性側の実際に関しては完全なる「裏切り」ともとれる結末。それはダメでしょ…と感じるレベルでした。
逆に、「サイドストーリー」側には重厚差を感じましたが、メインがあまりに薄かったために、こちらの方が悪目立ちするようにも感じてしまいました。重すぎる…とでも言うか。
プロローグにも関連付けられているのですが、それが新田側ではなく、新田父側の視点…というのも違和感がありましたし。プロローグの話が新田側でしたので、どうしても違和感がありました。
終盤に向けての疾走感…という点ではさすが東野さんと感じました。ただ、ストーリー、特に謎解きの面での「強引さ」は一気に気持ちを冷めさせてしまうもの。
この部分が最近の東野さんはどうも安定しないなあ…と感じてしまいます。