ゼンハイザー動き出す！
過去のイヤホン沼スパイラルから脱却するための道を探り，「MOMENTUM True Wireless」という１つの解答に辿り着いたわけです。
今後の主流になって行くであろう「ワイヤレス」という範疇の中で，「気軽な高音質」という観点で考えると「MOMENTUM True Wireless」という選択は「あり」だと思います。
音質面だけでいうと，高音側のざらつきはやや気になるものの，IE800と同一のダイナミックドライバーが効いており，解像度，音場，定位，音の繋がり等，非常にレベルが高いです。
IE800で感じたような「リスニング寄り」の聞きやすく楽しい音を，「ワイヤレスイヤホンの音質なんて…」と高をくくっている方にこそ聴いていただきたい！
もちろん，「艶」「深み」という部分ではIE800には及ばないのですが，BAには表現できないダイナミック特有の色艶は十分に備えており，「残念」と思うほどのものではありません。
バッテリー管理等，非常に残念な面はあり，特にソフトウエアの部分では第２世代に期待せざるを得ない部分が混在してますが，こと音質に関しては，
「ゼンハイザー，やるな！」
と，改めてドイツの老舗の実力感心させられるモデルとなりました。
さて…。
そんなゼンハイザーが，いよいよモニター系の有線イヤホンの分野で，勝負に出るようです。
「IE400PRO」「IE500PRO」の発売日が決定しました。
7/4予約開始，7/11発売です！
「IE40PRO」が好評なだけに…
「IE400PRO」「IE500PRO」は，すでに発売され，１万円帯で高い評価を得ている「IE40PRO」の上位機種となります。
どうやらゼンハイザーは，「モニター系イヤホン」の分野の再構築を一気に図ろうとしているようですね。
特徴的であり，私が最も気になってるのは，これらの機種がいずれも「ダイナミックドライバー一基搭載」というスタイルを貫いていることです。
通常，ハイエンド帯のイヤホンになると，BA（バランスドアーマチュア）ドライバーを複数搭載して，低・中・高の音域を分担させることで１つの音として構成させることが殆どです。
それを「一基」で済ませてしまおうというゼンハイザー。
驚きなのは，それでいてBA機以上の解像度を確保し，実に色艶のある音づくりをしてくることです。
私も以前「IE800」を所有しており，
「ドライバー一基でなぜこんな素晴らしい音になるの？」
と驚いたものです。
絶対的な装着感の悪さが無ければ，ずっと使い続けたかってのですが…。
そんなゼンハイザーの遺伝子を継ぐ今回の「IE400PRO」「IE500PRO」。
「沼」からの脱却を決意しながらも，「IE800」の影がちらつくのです。
しかも，これらの機種には，
「動作原理から再設計したという7mmダイナミックドライバーを搭載」
という記述が…。
「IE40PRO」が非常に好調なだけに，よだれが出るわけです…。
「リスニング」と「モニター」と…
気になるのは，今回の機種は「モニタータイプ」だということ。
名機「IE800」は「リスニング寄り」の機種であり，ダイナミックドライバー特有の自然で心地いい音の繋がり，異様なまでの音の艶めかしさを表現できる機種でした。
しかし，「モニターライク」な音となると，どうしても音の正確性，フラットな音というイメージがあり，IE800がもっていた「楽しさ」という部分が削がれてしまうような気もします。
この点が最大の懸念材料です。
また，「有線」ということは，また以前の「DAP」「ケーブル」等との相性問題とのからみが生じ，またまたスパイラルが始まる予感…（今回の２機種は，ケーブル端子が独自のものになっているようで，気軽にはリケーブルできないようですが）。
もういらないんだよなあ，あの感覚は…。
一発で好みの音を出してくれるのであれば…とも考えるのですが，いつもの私のように「即決」とはいけないジレンマに苦しんでいるところです。
まあ，「即決」しなくても我慢できるほど，「MOMENTUM True Wireless」の音質に満足している…ともいえるのですが。
