未だに独占状態! 「AppleWatch」の市場シェア
AppleWatchが発売された当初は,「スマートウォッチ」という代物がなんだかミーハーなデバイスに見えて,尻込みしていた自分がいたような気がします。そこには,「まだまだ機能不足」という現実的な問題点もありましたし,それに寄りそうかのように「何に使うの?」という必然性の問題もありました。
しかし…。
確実に機能アップが図られるとともに,Cellular化された「Series3」を購入してからは,それこそ毎日欠かさず装着している私がいます。結局Series3でCellular機能を使うことによるバッテリーの激減りと,限定的な機能に見切りを付けて途中からiPhoneとのBluetooth接続オンリーに切り替え,Series4,5ともGPSモデルを購入するという軌道修正はありましたが…。
やはり手元に各種通知が届くことで仕事面での機動性が上がりましたし,iPhoneを取り出さなくてもタスクを確認したり,ストップウォッチやタイマー等の機能を利用したり,ワークアウト時に音楽を聴いたり…と,「選択肢が増えた」ことのメリットが大きいですね。
しかし,これらの機能は,「iPhoneを母艦として利用する」ことを前提とした「AppleWatchだからできるワザ」という捉えが必要です。また,非常に多機能であるということは,当然高価な端末ということになります。
ただ,市場は「効果でも多機能」というAppleの考え方を受け入れているようで,スマートウォッチという範疇の中では,AppleWatchが未だに絶対的な勢力として君臨しているようです。
2019年第3四半期のスマートウォッチシェアが発表されました。
Androidが追い上げられない不思議…
2020年第3四半期(6月〜9月)のスマートウォッチの売上がこちらです。
AppleWatchが「680万台」という売上で正にダントツとも言える強さを発揮しています。Samsungが73%の伸びを見せているものの,そもそもの母数が小さい上に,AppleWatchも51%という驚異的な伸びを見せていることに注目せざるを得ません。
従来から強みを発揮していたAppleWatchが,未だにこれだけの急伸ぶりを見せていることは,個人的には結構驚いています。これまでは,Appleのデバイスが先行しても,Android勢がすぐさま似たような製品を投入し,徐々にAppleデバイスの勢いが衰えていくことが多かったもので…。Watchに関してはその兆候が見えてこないことが不思議なわけです。
記事には更に「シェア」の表も記載されています。
こちらも驚きです。
何と,昨年同時期と比べて,Appleのシェアが「2.9%」拡大しているのです。出荷台数で急伸したSamsungももちろん伸びてはいるのですが,伸び率は「2.4%」とAppleを超えるところまでは至っていません。そして,何よりも全体シェアが「47.9%」というのは,正に「圧倒している」というほどの強さと言えましょう。
前述したように,そもそもAppleWatchは,他メーカーのものに比べて格段に高価です。普通だったらこの手の商品は徐々にシェアが削られ,安価なものに取って代わられる傾向があるはず。スマホやタブレットの市場でiPhoneやiPadが辿ってきた道です。しかし,スマートウォッチ界では,未だにその兆候が見えません。
AppleWatchは原則として「母艦としてiPhoneを必要とする」という決定的な縛りがあるにもかかわらずこれ程の強さを見せているAppleWatchの動向は,これまでのデバイスとは違った要素が絡んでいるものと思われます。
「Series5」の不出来がブレーキにならなければいいが…
これは全くの個人的な意見ですが,「Series5は不出来な端末」だと考えます。
「常時表示ディスプレイ」という悲願を達成しながらも,バッテリーもちがSeries3・4と比べて大きく劣化しましたし,その他の部分での性能・機能アップが殆どありませんでした。アップしたのはWatchOSによる恩恵が殆どですので,私はバージョンアップをスルーしてもよかった型番だと今でも考えているところです。
今回の「停滞」が,これまで順調だったAppleWatchの販売に影響しなければいいが…と考えてしまいます。だって,もし私が「市場の評判を見てから買い換えるかどうか考えよう」というスタンスだったら,恐らく買い換えはせずに,Series4を使い続けたと思います(しかし買い換えを後悔しているわけではありません。買い換えたからこそ見えてきた問題点ですので)。
やはり,「性能が変わらないのにバッテリーもちだけ悪化した」という事実は,Appleとしては致命的だと思います。そもそも「バッテリーもち」という超基本的な項目は,前モデル以下にしては絶対にいけない部分だと考えますし,「性能がアップしていない最新デバイス」なんて,魅力を感じるはずもありませんので…。
この部分,「iPad3」と重なります。ディスプレイだけはRetina化したもののチップ性能はiPad2と同等で性能面に不満が残りました。結果としてたった半年でモデルチェンジという残念なバージョンでした。…私,初代からの買い換えで購入し,非常に悔しい思いをしたのを今でも覚えています。
しかし,Android勢に良策があるかといえば,それも微妙ですよね。
購入路線では恐らく適いませんので,安価である程度の高機能というゾーンで攻めてくるかとは思います。Samsungも順調に伸びていますし,GoogleもFitbitを買収して足固めを始めています。
でも…「決定打」といえる対抗策は全く見えていないのが実情ですね。恐らく,iPhoneユーザーが機能が限定されるのを承知でAndroid系スマートウォッチを購入することは考えづらいですし,その逆もしかりです。つまり,スマートウォッチに関しては,「iPhoneかAndroidか」という,所有しているスマホのOS環境に大きく依存するということなのでしょう。
スマホ自体は気軽に乗り換えできますが,スマートウォッチ目的でスマホのOSをチェンジする…ということは考えづらいでしょうから…。
さて,これまでのデバイスとは異なる発想が必要なウエラブル端末。今後もAppleが強みを発揮し続けられるのか,それともスマホのようにAndroid勢が一気に巻き返すような展開になるのか…?
今後数年の動きが非常に気になります。