やはりAppleは不都合なことを明確にしない…
ついに発表されたApple Silicon「M1」。
昨日は,その性能的な面についての記事をご紹介しました。やはりベースは「A14X」だったようですね。
もちろん,「待ちに待った…」という思いが強いのですが,当然その裏側もある訳でして。
先日の「幕が開く①」の記事では,ロースペック機から導入が始まったM1チップの性能的な現状と,今後への不安について書かせていただきました。
今回の「不安の種」は「拡張性」。
今回も,Appleは不都合なことを積極的にアピールするつもりはないようです。
「外部GPU」「メモリ量」「外部ディスプレイ接続」…不安は尽きない
今回の「M1チップ」発表にあたり,Appleはいつものごとく,「従来の〇倍高速」等,比較対象も具体的にしないままで性能アップをアピールしています。
しかしまあ,前日の記事に紹介したベンチマークでも分かるとおり,「A14X」とほぼ同等の性能であることが分かっていますので,確かに高性能ではありますが,予想の範囲内の値。あまり大きな妄想をかき立てるような表記はいかがなものかと思います。
更に,実に「さらっ」と書いている事柄に,これまでのIntel Macとの重大な齟齬が隠れているようです。Appleが明言していませんし,まだ実機のレビューが出ていませんので,はっきりとは言えませんが,恐らくこれらの不安は的中しているかと思います。
①「M1チップ」搭載Macは外部GPUには接続できない?
これまでのMacBook系であれば,内蔵チップのグラフィック性能に満足できない場合には,外部GPUに接続してパワーアップを図るという選択肢がありました。
しかし,どうやら「M1チップ」搭載Macではその選択肢を選ぶことができそうにありません。
このように,Intel Macでは明記されていた「Blackmagic eGPU」が,「M1 Mac」では選択できない状態になっているのです。
これ,もし外部GPUに接続できるのであれば,Appleとしては当然積極的にそれをアピールしたいはず。純正GPUが完成するまでの繋ぎと考えても,外部GPU接続によるパワーアップは大きな武器になり得るのですから…。
それが「外れている」ということは,これまでのサードパーティー製の外部GPUとの互換性はなくなった…と考えるのが妥当でしょう。
この部分については,開発が噂されている「Apple純正GPU」を待つしかないと思われます。
まあ,それに関しても,果たしてAirや13Proのようなエントリー・中級機に接続する「外付けGPU」を用意するかどうかは甚だ疑問ですが。
どう考えても,デスクトップMac用の「内蔵型GPU」開発が優先されるでしょうから。
②メモリ量が16GBで打ち止め!
これも気になります。
「M1チップ」13インチProのカスタマイズにおいて,選択できるメモリ量は最大16GBに制限されます。
Intel Macでは「16GB」が標準で「32GB」を選択できますし,16インチProでは「64GB」まで選択可能です。
メモリ食いで有名なMacですので,積めるのであればもっと積みたい…と考えたくなるのが当然。,これが「16GB」に制限されるということは,恐らく「M1チップ」搭載Macでは,現状16GBのメモリまでしか認識できないのでしょう。
デスクトップMacではこれは致命傷ですので,恐らく来年に登場する新チップでは,この部分がある程度改善されるでしょう。
しかし…。
「TB」レベルで搭載可能なIntel「Mac Pro」ほどの拡張性は望めないでしょう。
これと同じ理由で,SSD容量が2TBまでしか選択できないのも,「M1チップ」の影響なのではないでしょうか?
③「6K」ディスプレイには接続できるが…
「M1チップ」を搭載することにより,「6K」のディスプレイとの接続が可能となりました。思いっきり「Pro Display XDR」を意識していますね。
しかし,YouTubeで「Appleが大好きだよ」さんが指摘しているとおり,これまで可能だった「4K2台」との接続という文言が消えています。
マルチディスプレイを狙っている方は,注意が必要かもしれません。
しかし,何故かM1搭載「Mac Mini」に関しては,以下のように「2台接続可能」を謳っています。
ということは…。
ますますMacBook系では4K2台の接続はできないのかもしれませんね。
今後もいろいろ出てくるでしょう
恐らく,今後実機が出回ると,上に記載した以外のことでも,
「えっ,これができなくなってるの?」
という事実が判明してくるでしょう。
最近何回も書いているのですが,Appleには,新製品や新技術のために以前と異なる状態に陥る場合には,「さらっと仕様書に書いたり」「しれっとサイレントで変更したり」するのではなく,明確に伝えていただきたい。
特に今回の「M1チップ」は,これまでのMacから大きく方向性を変えるわけですで,より丁寧な説明を行う必要があると考えます。