「WF-1000XM4 + LDAC」で見えてきたこと
これまでiPhone13 Proでのみワイヤレスのイヤホン、ヘッドホンを楽しんできた私が、先日「LDAC」と「aptX Adaptive」を求めて「AQUOS sense6」を購入したことをお伝えしました。
あくまでも「AQUOS sense6」はDAPとしての用途で購入しました。「LDAC」と「aptX Adaptive」の双方に対応しているDAP、スマホはそれほど多くはありません。
DAP専用機はもちろんのこと有線での接続をメインに考えられていますのでお高く、そう考えると「AQUOS sense6」はコスパのよいロスレス/ハイレゾ用の無線DAPとして使える…と考えついたからです。
iPhoneユーザーならではの考えかもしれませんが…。
早速「WF-1000XM4 + LDAC」の音を聴き、その高音質ぶりに驚いた…ということは前回書かせていただきましたが、これを契機に色々と考えたことがありました。
今日はそのことについて…。
可能性と限界を露わにする高音質向きコーデック
「WF-1000XM4 + LDAC」、確かに高音質です。
その音については前回の記事をご参照ください。
しかし、何故か聴き疲れするのです。
以前の印象からすると、有線で使っている「DX300Max + IE900」の方が、あまりの情報量の多さと解像感の高さ故聴き疲れする…という先入観がありました。
ところが、ちょっと落ち着いて聞き比べてみると逆だったのです。
理由を考えてみました。
もともと「WF-1000XM4」は高音側の再生に弱点を抱えています。
これは購入時のレビューや「WH-1000XM5」との比較でも述べていること。
低・中音域は深みがあって豊かなのですが、高音は無理して出している感が強く、キンキンする印象がありました。
この弱点がLDACで聴いた際に目立ってきたのかな…と感じました。
ただでさえ解像感が増して音の輪郭がはっきりしすぎるくらいにはっきりしたところに、高音側の情報量も増えたため、「限界を超えてしまった」という感じです。
逆に「IE900」の方は、「WF-1000XM4 + LDAC」と比較するとむしろまろやかな高音。まろやかというか、LDACよりも格段に情報量の多いはずの「DX300Max」の音を軽く捌いている感じです。
キラキラしているのにしっかりとした肉付けがさせており、低・中・高の音のバランスが最高。「WF-1000XM4」のような「どこが得意でどこが弱くて…」というような批評をする次元ではありません。
つまり…。
言えることは、
「現状のワイヤレス機は、ロスレス/ハイレゾ音質を十分に活かすだけの実力には至っていない」
ということです。
逆に言えば、現状はそうだが、今後の高音質で改善する伸び代がある…ということではあるのですが…。
この違い、そう簡単に乗り越えられるものではなさそうです。
まあ、相手は合計50万円のモンスターですので、この比較が正義とは思いませんが、自ずと限界が見て取れた…ということでご理解いただければと思います。
「MOMENTUM 4 Wireless」への期待
さあ、そこで「MOMENTUM 4 Wireless」への期待です。
「aptX Adaptive」で聴いた際、どの程度受け止めるだけの力があるか…という部分がまずもっての注目点となるでしょう。
先代の「MOMENTUM Wireless3」も弱点は「高音」でした。「WF-1000XM4」同様伸び切れず、限界を超えるとシャリついてしまう印象があり、低音寄りの音作りの中で目立ってしまう…ということがあったのです。
恐らく「MOMENTUM 4 Wireless」はこれまで以上にフラットな音作りがされてくるでしょう。イヤホンである「MOMENTUM True Wireless 3」も煌びやかな高音を意識した音でした。
しかし「MOMENTUM True Wireless 3」は正にその高音に限界があり、シャリ付きが目足っていたんですよねぇ。以前のレビューをご覧下さい。
「MOMENTUM 4 Wireless」は、この高音側の弱点を克服できているのか?
シャリつくくらいだったらやや丸みをもたせたチューニングでいいように思うんですけど…。
「無線」と「価格」という限界があるため、非常に厳しい要求をしているのは十分承知の上です。
しかし、もしこの部分をある程度でもクリアできていれば、「MOMENTUM 4 Wireless」は名機になること請け合いです。
しすぎない程度の期待を胸に、到着を待ちたいと考えているところです。