Apple Siliconを生かし切れていなかったFinal Cut Pro X
M1 Ultra搭載のMac Studioを導入してから感じた誤算のひとつが「Final Cut Pro Xの書き出しの遅さ」です。
新型チップであるApple Siliconで活用する動画編集アプリとして、当然ながら純正の「Final Cut Pro X」の「爆速」ぶりに期待したのですが、あまりの低調ぶりにDaVinci Resolveを利用し始めた…ということは以前にお伝えしております。
編集時の動きは、重めの動画になるほどFinal Cut Pro Xの方が快適です。ただ、そんな重い作業をどれほどするのか…ということを考えると、この部分は無視してもいいレベルだと考えます。DaVinci Resolveも十分高速に編集できますし、全く問題ありません。ただ、Final Cut Pro Xのぬるぬるぶりは「さすが純正」と思わせるものがあります。
ただ…。
これが「書き出し」になると、
「Apple Siliconと純正アプリであるFinal Cut Pro Xの相性の悪さ」
を肌で感じてしまうほどの劣悪ぶりを発揮するのです。
詳細は過去記事を参照していただきたいのですが、書き出しに関しては圧倒的にDaVinci Resolveが高速でした。
その理由は明らか。
「GPUを有効に活用できているか否か?」
という部分に尽きます。
アクティビティモニタで見ると、DaVinci Resolveが書き出し時に積極的にGPUを使用しているのに対し、Final Cut Pro Xはほんの「数%」しか使っていないのです。
これでは勝負になりません。
純正アプリなのにサードパーティー製アプリに新チップの活用度で負けている…。
この部分では大いにAppleに失望しました。
どうしてもこの部分に納得が行かず、それ以降はDaVinci Resolveに移行したわけです。
Final Cut Pro X(v10.7)でApple Siliconでの書き出しが爆速に!
その後もDaVinci Resolveは細かなアップデートを重ね、機能を増やすとともに、書き出しとの速度も少しずつ向上させてきました。BlackMagicの底力はたいしたものです。
ただ、あまりに多機能な面は少々戸惑うことも多いですし、前述したように通常の編集場面ではFinal Cut Pro Xの方が快適であることも事実です。
そんな中…。
11月初旬にAppleが、
「次期改定でFinal Cut Pro Xで動画の書き出しが爆速化する…」
ということを発表し、11/30、ついに「Version10.7」が発表されました。(macOS Sonoma以降、およびApple M1 Max、M1 Ultra、M2 Max、M2 Ultra、またはM3 Maxを搭載したMacが必要)
早速試して見たのですが、驚きの結果が出ています。
一例ですが…。
これまでの検証で使用してきた4K動画(→H.264)の書き出し時間が、
「6分56秒→3分09秒」
へと2倍以上高速化しております。
DaVinci Resolveの書き出し時間が「3分58秒」でしたので、あっさりと凌駕してしまいました。
次回はより詳細に…。