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三上延最新作「同潤会代官山アパートメント」・4/19発売〜高級集合アパートで生きる昭和の家族の姿を描く異色作〜

平三上さん久々の単行本

 三上延さんの最新刊の話題が飛び込んできました。

 三上さんといえば,「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズでおなじみのように,ラノベの世界で多彩な作品を発表しています。
 先日は,「栞子さんと大輔が結婚し,扉子という子どもが生まれた」という設定で,ビブリアシリーズが新章に突入したばかりです。 

 その他の「いかにもラノベ」という作品は読んだことがありませんが,三上さんが初単行本として出版した「江ノ島西浦写真館」は読んでいます。
 亡き祖母が経営していた写真館で遺品整理をする中,「未渡し写真」を発見した孫の「繭」が,写真を受け取りに着た青年「真鳥」ともに,写真を返しに行くが…
 というミステリータッチのストーリー。 

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 ビブリアを読んだことがある人であれば,「三上さんお得意のミステリー」と感じるかも知れません。「古書」を「未渡し写真」に換え…という手法も似通った部分がありますので。

 さて,そんな三上さんですが,4/19に,最新作の単行本を出版します。タイトルは「同潤会代官山アパートメント」
 さて,どのようなお話なのでしょうか? 

同潤会代官山アパートメント

同潤会代官山アパートメント

 

 

実在した昭和の高級集合住宅を舞台にした,家族の物語

 Amazonの紹介ページを見ても情報が決定的に欠落していましたので,ちょっと調べてみました。

 すると,本作は2017年から新潮社の「yom yom」電子書籍版で連載された者だということが分かりました。この際の連載タイトルは「月の砂漠を 同潤会代官山アパートクロニクル」だったようです。
 なんでも,当初は短編作品「月の砂漠を」としてyom yom2014年春号に掲載。以降,担当者が「長編作品にしましょう」と,3年かけて三上さん口説き落として,初の文芸誌連載の運びとなったのだそうです。
 5年も前からこのような動きがあったなんて,全く知りませんでした。

 さて,肝心の内容ですが,昭和の時代に現在の表参道ヒルズの地に実在した「同潤会代官山アパートメント」を舞台に,そこで暮らすある家族を描いた作品だということです。

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  なんでも三上さんは,当時同アパートに住んでいた多数の方々に取材を重ねたのだとか。
 ビブリアシリーズでも,巻末に参考資料として多数の書籍が並ぶほど,しっかりと取材,吟味を重ねる丁寧な仕事をなさる三上さんですので,今回の作品も期待できそうですね。

 また前掲の記事によると,同アパートをモチーフにしたことについて三上さんは

「同潤会アパートは当時としては近代的な設備を持つコンクリート造の集合住宅で,今で言うマンションの元祖的な存在。都市部のマンションに住むという,今では当たり前になった生活スタイルの源流が,同潤会アパートにあるのではないかという思いがあった。そんな現代の生活スタイルに通じる場所を舞台にすることで,昭和の,どこにでもいる普通の人たちが感じてきたことを,時間の経過と共に描けるのではないかと思った」

と語っています。

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 昭和の成長に伴う勢い,その影にある影の部分等々,恐らく三上さんなりの明確な主題があるものと考えます。
 いや〜,読むのが楽しみです。

 

平成終焉の年に,あえて昭和の物語を…

 ところで,本作が発売されるのは「4/19」の予定。
 間もなく「平成」が終わるというタイミングです。

 果たしてこれは偶然でしょうか?
 私は明らかに狙ってこの時期を選択したのだと考えます。

 1つの時代が終わろうとする間際に,日本にとって様々な大きな意味合いをもつ「昭和」の時代を描く…。
 昭和の「明暗」を描くことで,新しい時代の「人としてのあり方」を問う…。

 連載は全く読んだことはありませんが,これまでのミステリータッチのものとは違う,「新しい三上延」の作品を期待している自分がいます。 

同潤会代官山アパートメント

同潤会代官山アパートメント