バーチャルキーボードの新機軸「SelfieType」
これまでも,「バーチャルキーボード」という考え方は存在しました。
そして,その殆どが,デスクトップにプロジェクター等でキーボードを投影し,キーを打つタイプでした。
このタイプであれば,物理キーボード同様,どのキーがどこにあるか分かります。当然我々は,今後のバーチャルキーボードに対しても,これと同様のシステムを想定していたのではないでしょうか?
しかし…。
「CES 2020」において,Samsungがの全く新しい考え方のバーチャルキーボードを提案しました。
なんと,指の関節の動きを感知する?
指の動きの「ブレ」はどのように影響する?
この技術を,Samsungは「SelfieType」と命名しているようですね。
記事によると,
Selfie Typeでは,GalaxyスマートフォンやタブレットのセルフィーカメラとAI(人工知能)を利用し,手の動きを読み取ってタイピングを実現する,というもの。さらにジェスチャーにも対応し,空中を掴んでメッセージを送ることもできる
そうです。
記事中には動画も紹介されています。
もちろん便利そうではあるわけです。
物理キーボードとは違い,「持ち運ぶ」手間が全く必要ありませんし,スマホを置くスペースさえあれば,「いつでも,どこでも」入力操作ができるわけですので。
また,従来の「投影式」とは異なり,使用するスペースも狭くて十分でしょうし,キーが投影されていないことで,「いかにも入力しています」という他者への余計なアピールをしなくて済むことになります。
しかし…。
根本的に心配なのが,本当に間接の動きを正確に読み取り,「今,どのキーを打ったのか」を正確に判断することができるのか…ということです。
投影されたキーボードであれば,「A」を入力したければ「A」の場所を叩けばいいわけです。しかし,「Selfie Type」では,指の動きそのものが問題なのであって,「指先がどこを叩くか」ということは関係ないわけです。第一「どこを打つかの指標となる」キーの提示がないわけですので。
何を言いたいかというと,
「人間,その日そのときの様々なコンディションで,キー入力時の手の動きに微妙なずれが生じるはず」
だということ。
恐らくは,このシステムを利用する前に,ユーザーのキー入力の癖をスキャンするような確認作業があるのでしょうが,そのときと全く動きで常に入力操作する自信は,少なくとも私にはありません。
いくらブランインドタッチができるからといっても,その日によって入力のフィーリングは異なるものですし,第一ノーミスで入力できるわけでもありません。
やはり,物理的なキーボードが無いにしても,キー位置を示す「投影」は必要なのではないでしょうか?
「空中」でタイピング…?
いずれにせよ,「物理キーボードなしでの入力」という分野は,今後確実にその注目度が上がっていくことでしょう。
そして,
「空中でタイピングする…」
などのような,より「いつでも,どこでも…」という考え方に照らした入力方法が考えられていくことになるでしょう。
恐らくこの技術を構築していく上で課題となるのは,「直接触れないでどのように入力を感知するのか」という部分に加え,「人間の指」という「入力機器」の「ブレ」という,ファジーな部分なのだと考えます。
数十年後,世の中の「入力事情」はどうなっているのでしょうかね?
未来映画にあるような状況になっているものでしょうか?