意外にもプレミアムスマホ分野は堅調
コロナが様々な産業に暗い影を落としてきた2020年…。
そんな中でも,前回のAppleの業績報告を見ると,なかなかの好調ぶりを見ることができました。
まあ,リモート等の特殊な事情が重なったこともあり,特需的な需要が,コロナにおける開発・生産のマイナス部分を補った…という見方ができるでしょう。
しかし,それにしてもこの時期の増収増益,しかも全般的な向上というのは,なかなか信じ難いことではあります。
この度,4〜7月期の全世界のスマホの出荷台数,収益に関する記事を見つけました。
iPhoneの収益性の高さが際立っています。
そして「収益シェア」の1/3がAppleに…
記事によると,
・2020年第2四半期(4月〜6月)の全世界のスマホの出荷台数は,対前年同期比で23%減となり,それにともないスマホ市場の収益も15%減少した。しかしながら,スマホの平均販売価格(ASP)は10%増となった
・全価格帯のスマホの出荷台数は2020年4月〜6月期に23%減となったが,プレミアム端末は8%減少するにとどまり,パンデミック禍で強さを発揮した
・5G対応機は全世界のスマホ出荷台数の10%を占めるにとどまったが,収益では20%を占めた
とのことです。
総じて言えるのが,コロナ禍にあって,やはりスマホの販売台数に落ち込みが見られるものの,プレミア価格帯の端末の減少には歯止めがかかっているということです。この「プレミアム端末」には,iPhoneの他,Android勢の5G機が含まれているでしょうから,やはり「5G化=高価格化」という流れになってことが読み取れますね。
しかし,それでも全体で見ると収益が下がっているのですが,Appleだけは別のようです。Appleの出荷台数は3%増,収益は2%増となっており,5G機を有しないメーカーとしては異例ともいえる好成績だったことが分かります。
そして,その要因を見て取れる資料がこちら。
なんと,スマホ全体の収益の1/3を,Appleが占めているというのです。
iPhoneの収益性の高さを再認識させられる結果です。
もちろん今回のデータの中には,iPhoneでいう「廉価版」となる「iPhoneSE」が含まれているでしょう。利益率で見れば劣るはずのSEでさえも,他のメーカーと比べると相当に「おいしい機種」になっているであろうことが想像できますね。主力である「iPhone11シリーズ」が次機種に入れ替わる「10〜12月期」には,利益率は更に跳ね上がることが予想されます。
Apple恐るべし…と言わしめる今回の記事となっています。
価格高騰は避けて欲しい…
5G化に伴い,端末価格が上がってしまったAndroid勢に対し,これまでは「iPhone12は価格据え置き」とする見方が支配的でした。
しかし先日,「端末価格が従来よりも50ドルほど上昇する」という記事を紹介しました。これ,心配なニュースです。
プレミアム端末で利ざやを稼ごう…という安直な考えに各メーカーが走ってしまうことが無ければいい…と願うばかりです。
コロナ禍で苦しい中ですが,ここで企業の底力を見せ,ユーザーに寄り添った商品開発を行い,良心的な価格を提案していただきたいもの。
Appleには,是非ともその牽引役になってもらいたいのですが…。
我が道を行き,利益性を重んじるAppleには,少々難しい課題なのかもしれません。