常用しようと思える音質か?
BOSE「QuietComfort Earbuds」のレビューをしております。
ここまで,「開封,ペアリング,フィッティング編」「ノイズキャンセリング編」をお伝えしてきました。
肝心のノイズキャンセリングに関しては,恐らくこれまでのノイキャン完全ワイヤレスイヤホンの中では最強でしょう。
この点が導入の最優先ポイントなのであれば,間違いなくベストチョイスとなり得ます。
しかし,あくまでも「イヤホンの中では…」という条件付き。
ヘッドホンのノイキャンには全く追いついていませんので,このあたりは使用目的に応じて選択する難しさもありますね。
さて,今回は,「ノイキャン」以上に大切にしたい「音質」に関するレビューです。
いくらノイキャンが優秀でも,「常用しよう…」と考えるためには,一定ラインの音質は欲しいわけで…。
さて,どうなりますか…?
AirPods Pro同様,結局は「音楽鑑賞用」ではない…
まずもって,「BOSE製品」ということで,低音過多の音質になるであろう…という予想はしておりました。
その予感は,「取って出し」の試聴で的中していることに気付きます。
ボワついた低音に支配された音…。全域にわたって角の立っていない丸い音の中で,更に丸い低音が量的にも支配している状態です。
しかし,一定時間のエージングをすると,この低音の過度な主張が収まってくる印象を受けました。
当然「低音過多気味」の傾向は残るのでが,10時間ほど鳴らすとやや低音が収まって,全体の音がすっきりとまとまってくる印象です。
その上での音質はというと…。
まずもって,ボーカル帯となる中音域から上の音域の距離感がかなり遠く聴こえます。それ故,音源と耳との間にかなりの数のフィルターがかかっている感じ。
音楽が直接耳に飛び込んでくる印象が非常に薄いため,
「音楽鑑賞用としてはふさわしくない…」
と直感してしまいます。
この点は,正にAirPods Proと同様です。
しかし,AirPods Proとの傾向は大きく異なります。
AirPods Proは,フィルターがかかったような音であることに加え,非常にフラットな鳴らし方をするので,本当にのっぺりと聴こえます。
これに対して「QuietComfort Earbuds」は,前述のように低音が支配的であり,中・高音域の解像感に関してはAirPods Proよりも僅かに高いために,ある程度のメリハリ感は感じ取ることができます。
しかし…。
あくまでも「音楽鑑賞用ではない…」と感じた上での特性ですので,のっぺりとしたAirPods Proが悪い…ということもないかもしれません。
BGM的にかけ流すだけ…という用途であれば,のっぺりとしたAirPods Proの方が好ましいと感じるユーザーが多いかもしれません。少なくとも「邪魔」にはなりませんので。
「QuietComfort Earbuds」は各音域がそれなりに主張しますので,どうしても音を聴きに行きたくなるのですが,その音質そのものは残念ですので,かえってストレスになる…ということも考えられるかも…。
私は後者でした。
低音量時の「アクティブEQテクノロジー」が悪さを…
ひとつ救いがあるとすれば,
「音量を上げると,音質的にも満足感を得ることができた…」
ということでしょうか?
本機種は,「アクティブEQテクノロジー」という機能を有し,低音量時にも音が痩せないように,低音を自動でスケールアップしてくれるようです。
私,この機能のせいで,低音量時には低音過多になり,かえって中・高音域が引っ込んだように聴こえるのだと思います。
ただでさえ解像感がなく,フィルターがかかったような音なのに,更にボーカル帯が押さえ込まれたのでは,「音楽鑑賞用」としてふさわしいイヤホンになるわけがありません。
恐らく,音量を上げると「アクティブEQテクノロジー」が,相対的に低音域を抑えるような設定になるように調整するため,好ましい音になるのではないでしょうか?
しかし…。
せっかくの強力なノイキャンを有しているイヤホンで,耳に負担がかかるほどの大音量で聴かなくてはならないのでは本末転倒です。
この機種…。
「低音強めのアメリカンな味付け」を好むかどうかで評価が大きく異なってくるように感じます。
フラット好き,解像感・艶のある音質を求める…というユーザーには向かないかもしれません。