iPhone用OLED生産に異変?
iPhoneX発売時においては,その有機ELディスプレイはSamsungの独占生産でした。
当時は,Appleが要求する品質をクリアするのがSamsungだけだった…というのが,その理由のようです。
しかし,それは,「SamsungがこけたらAppleも…」ということにも繋がりかねず,特にiPhoneのような大量の生産が必要なデバイスにとっては,非常にリスキーな状況でもあったということです。
この点を踏まえてか,ちょっと前には,
「iPhone13からは,LGに加え,中国のBOEもiPhone用OLEDを生産することになる」
というニュースが流れていましたね。
ところが…。
一転,「BOEがiPhone12用のOLED生産を手がける…」という情報が出てきました。
どういうこと?
LGが脱落か?
記事によると,
Apple製品のLCDや,Apple WatchのOLEDディスプレイの生産を行っている中国BOEが,6.1インチiPhone12の有機EL(OLED)ディスプレイの供給を近く開始する,と台湾DigiTimesが報じている
とのこと…。
まずもって違和感を感じるのが,以前の情報では,
「BOEはiPhone12用OLED生産において,最終的には見送られた」
という説が有力だったという点です。
この記事では,この疑問に関して,
AppleはOLEDディスプレイサプライヤーの多様化を図るため,同じく韓国のLGを2番目のサプライヤーとすべく,同社に巨額の投資を行った。しかしながら,技術的な不具合により,LG DisplayはiPhoneディスプレイ専用の生産施設の1つの停止を迫られるなど,先行きが不透明な状態が続いているようだ
と説明しています。
ということは…。
当初は「Samsung + LG」体制でいこうと考えていたが,LGの歩留まりが上がらず,急遽BOEに不足分のディスプレイ生産が回ってきた…というところでしょうか。
記事には,
「BOEは最初は比較的少量のOLEDディスプレイ供給から始め,2021年にはディスプレイの出荷量を徐々に増加させていく」
という文言があります。
ということは,今後のAppleにおいては,「LGよりもBOEに重きを置く」という方針転換に他なりません。
Samsungに頼りっきり…という現状からはいち早く脱したいと考えているはずですので,BOEの生産体制が拡張されれば,その都度BOEの生産割合を増やしていきたいと考えているのでしょう。
LG脱落…という印象が強いですね。
「MicroLED」の覇権はどこが握るのか?
時期iPad Pro12.9インチや新型Macには,「MiniLED」が搭載される…というのがもっぱらの噂です。
一方,Apple WatchやiPhoneに関しては,「MicroLED」搭載の可能性が高いようです。
この「MicroLED」,なかなか実用化には届いていないようなのですが,これまでの経緯を考えると,「Apple Watch→iPhone」という流れで導入されることになるでしょう。
現状はOLED生産でギクシャクしているようですが,今後の「MicroLED」の覇権を握るのはどの企業になるのか…ということは,これまでの「王者Samsung」というOLED市場後のメーカーのマウンティングという視点からも非常に興味深いものになりそうです。
地味な分野かもしれませんが,「ディスプレイ事情」からも目が離せない展開が,今後続きそうです。