携帯キャリアのずる賢さにはある意味感心する…
菅首相肝いりの「携帯料金値下げ」への動き。
SoftBankやauがやけに素直に従った結果,提案されたのは,Y!mobileやUQ mobileといった「サブブランド」における「新料金プラン」の設定という回答でした。
「これまでの4G契約において,20GBまでの大容量プランを新設した」
というだけの結論です。
「これでは値下げしたとは言えないだろう…」
と,誰しもががっかりしたことでしょう。
「言われたとおりに,低価格の大容量プランを用意しましたよ。別ブランドですけどね…」
という,携帯キャリアのずる賢さ。まあ,これまでもありとあらゆる「抜け道」を見つけ出してここまであえんできたわけですが,ここに極まれり…という感がします。
しかし…。
さすがに政府も世論の批判を感化することはできなかったようで…。
武田総務相から,異例とも言える警告的な提言が行われたようです。
「標準プラン」の値下げでなくては…
記事によると,
武田良太総務大臣は11月20日に開いた会見で,『多くの利用者が契約しているメインブランドでは,新料金プランが発表されていないのが問題だ』と述べ,携帯大手3社に対して主力ブランドの料金プランを値下げするよう強く求めた
ということです。
いや〜,これまでは一般の消費者との感覚のズレばかりが見られていた総務省ですが,トップ自らが当たり前のことを当たり前に主張してくれたのにはほっとしました。
そう。菅首相が官房長官時代から繰り返し述べているのは,一部の抜け道的プランの設定ではなく,あくまでも多くのユーザーが利用している「標準的プラン」の価格下げです。
具体的に言えば,今後の「5G契約」を前提とした「大容量プラン」および「無制限プラン」を「5,000円程度」まで下げなくてはならないということ。しかも,最近主流の「家族割り」「ネット回線割」等のキャリアによる囲い込み戦略分を除いた,基本料金ベースで考えることが必要です。
そもそも,今後の「5G時代」をCM等であおっておきながら(その割に5G網の充実は遅々としていますが…),今回のサブブランドプランでの5G利用は前提としていないという,全くもって利用者を馬鹿にしている回答そのものが問題なのです。
大手キャリアは,国から回線を独占的に利用できる権利を委託されているわけですので,自社の儲けばかりを考えるべきではありません。現在でも莫大な純利益を上げていますし,今後も右肩上がりの分野であることは明確。
また,湯水のように流れる各社のTVCMに費やしている費用も莫大でしょうし,「その分を利用者に還元せよ」と,以前から強く思っていました。
政府には,利益配分の適正化を強く指導してもらいたいと願います。
もはやネット回線は,「自由に使えて当たり前」の時代。ある程度の負担で,誰もが制限無く利用できる態勢を整えていくことが,IT化に立ち遅れてしまった日本の今後を作り上げる基礎になると考えます。