3大キャリアの格安競争の裏で…
昨年末に,docomo「ahamo」,SoftBank「SoftBank ON LINE」という,メインキャリア内での格安プランがアナウンスされました。まあ,明確に言えばSoftBankはこれまでの事業を分割した上でのひとつの部門ですが…。
恐らくは,今月の早い時期に,auからの提案もあるはず。それぞれの申し込みが始まる2月以降は,集客合戦がものすごいことになりそうです。
これらの動きの中で,厳しい現実を突きつけられているのがMVNOなのではないでしょうか?
低価格を売りにしてきたものの,MNOが低価格帯に参入するとなると,物理的に対抗措置が限られてしまいますので…。
そんな中,昨年末に「日本通信」が開始した新格安プラン。随分思い切った策を切り,価格も「20GBで1,980円」というギリギリの線を突いてきました。
しかし,この勝負の策に暗雲が…という記事が来ています。
日本通信とdocomoの協議が不調に終わった?
日本通信の「あて」が外れた可能性が…
記事によると,
日本通信は今年6月より,総務大臣の裁定に基づき,ドコモと音声回線のレンタル料金に関する協議を行っており,料金を値下げするよう求めていた。12月29日が総務大臣裁定が定める期日だったが,日本通信とドコモの協議は合意に至らず,不調のまま終了した
とのことです。
日本通信が発表していた新プランの内容がこちら。
「ahamo」のサービスが開始されると同時に,データ量が現行の16GBから20GBに増えるということでしたね。
日本通信,いや,全てのMVNOにとって,大手の「5G対応・20GB=2,980円」というプランに対抗するとすれば,この「20GB=1,980円」というところが,利用者にアピールするとともに,業者側としての利益を得る上でのギリギリの線なのではないでしょうか?
しかも,このデータプランにおいても,これまでのdocomoとレンタル契約料金を下げてもらうことを前提に見切り発車していたもののようで…。
これ,もしdocomoが首を縦に振らなかったら,日本通信の存続に関わる大問題となりますね。そりゃ,株価も下がろうというものです。
さあ,どうなりますか?
私は,それこそ「お上(総務省)」の出番だと思うのですが…。
だって,先日の会見で総務大臣が,「大手の値引きが,MVNOを窮地に追い込むことはない」由の発言をしてるのですから…。
「楽天モバイル」の動向も気になる…
更に気になるのが,「楽天モバイル」の動向です。
「2,980円で無制限」というワンプランを売りに,第4のキャリアとして参入した楽天モバイルですが,3大キャリアが「2,980円」というプランを打ち出すことで,揺れているはず。
楽天モバイルの回線の信頼性が向上するようであれば,5Gも使い放題で2,980円というプランは仰天のコスパですが,現状ではまだまだ非常に厳しい。ようやく契約者が200万人を突破したということですが,「300万人まで1年間無料」というニンジンをぶら下げても集客がはかどらないのは,未だに信頼が得られていない…ということを如実に表しています。
楽天モバイルが,このままじっと我慢するのか,それとも我慢しきれずに更なる低価格を打ち出すのか…。
それによっても日本通信のようなMVNOの運命が左右されることになるでしょう。
大手の低価格化はもちろん歓迎すべきことですが,それによって立ちゆかなくなる企業,業態がある…というのもなんとも世知辛い話です。
今年は携帯料金やそれに関わる業者の動向にも注目ですね。