Qualcomm、2023年後半にPC用Nuvia Armチップを出荷?
Appleが「脱Intel」を宣言し、SoCベースのApple Siliconへの全面切り替えを行い始めた際は、誰しもが懐疑的な目を向けていたことでしょう。
しかし、最初に登場した「M1」の高性能ぶりが世界に衝撃を与えました。
登場して1年半が経過しますが、現在でも第一線で活躍していることがそれを証明していますし、M1以降の高性能チップの動向を見ても明らかです。M1 Ultraについては修正が必要でしょうが…。
高性能で省電力…。
M1はSoCチップの可能性を世に問いました。
それ以降、Apple以外の企業が様々な動きを見せていました。
NVIDIAは「ARM」を買収、Qualcommは「Nuvia」を買収、MicrosoftがTSMCにSoCチップを発注等、いずれもApple Siliconに刺激を受けた結果の行動でしょう。
私はSoC革命が起こり始めているのだと考えます。
これまではスマホやタブレットといった携帯端末専用と思われてきたSoCチップですが、高性能化が図られたことで、十分にPC用途でも使えることが証明されました。この点に関するAppleの貢献は正に歴史的です。
そんな中…。
ついにQualcommが動き始める…という記事が来ています。
ハイパフォーマンスPC用?
記事によると、
2022年第2四半期(4月〜6月)の財務情報説明会にて、Qualcommの社長兼最高経営責任者(CEO)であるクリスチャン・アモン氏が、Nuvia Armチップを搭載したWindowsラップトップが2023年後半に登場予定であることを明らかにした
ということです。
これまで、Windows11用ラップトップPC用として、「Snapdragon 8CX 3」が提供されていたようですが、このチップの性能は以下のように、お世辞にも高いとは言えないものでした。
A15Bionicがシングル/マルチが「1734/4818」ですので、スマホ以下…。
そこで、この度の新チップは「ハイパフォーマンスPC用」になるというのです。
Qualcommとしては、買収した「Nuvia」では高性能チップ、Qualcommではスマホ用、というように役割分担をしていくつもりなのかもしれません。
Appleの優位性は揺るがないのでは?
恐らく今後は、NVIDIAも交えたSoC戦争が始まるのだと思います。
しかし…。
Appleの優位は揺るがないのでは?
まずもって、これからQualcommが頑張っても、早々簡単にAppleの「Mシリーズ」に迫ることはできないでしょう。
ましてや、「Nuvia Armチップ」が登場する「2023年後半」には、Appleは「M2シリーズ」の全てのチップが登場し終わっており、「M3シリーズ」の影がちらついている頃合いなのではないでしょうか?
さすがにM3を超える性能のチップをいきなり出してくるなんて無理でしょう。
スマホ用チップの歴史を振り返っても、性能面においてはQualcommは常にAppleの後塵を拝してきましたし…。
また、Appleが脱Intelを掲げてSoCに身を投じたように、「SoCにかける意気込み」が決定的に違うと考えます。
MシリーズがこけたらMacの終焉だったわけで、「失敗できない」という思いの強さが違っているはず。
iPhoneにおけるAチップの性能が他の追随を許さない現象を、
「チップ性能だけよくても…」
と見る向きがありましたが、現在の状況を考えると、ある意味、
「チップ性能こそ全て」
といえる部分がAppleを救っているとも捉えることができます。
特にPCにおいてはチップ性能が全てにおいて優先される面が強いでしょうから。