今後のワイヤセスイヤホン/ヘッドホンについて
ゼンハイザー「MOMENTUM True Wireless3」のレビューをしてきました。
とにかく「音質最優先」で考えていた機種ですので、この点で不満を覚えてしまった以上、「MOMENTUM True Wireless3」とは縁がなかった…と考えております。
その上で…。
非常に気になったのは、ゼンハイザーをしても「解像度重視」に振ると耳障りなシャリ付きを伴った音作りになってしまう…というのが、「ワイヤレス」の現状であるということ。
このあたり、
「ゼンハイザーなら、限界突破をしてくれるのでは?」
という思いが非常に強かったものですから、個人的に落胆が大きいです。
しかも「第3世代」ということで、技術的に成熟する世代が今回の機種でした。
ノイキャン性能は高めてきたようですが(私の耳はノイキャンイヤホンの効果を聴き取りにくいのでさておくとして…)、音質面での違和感は想定外でした。
というわけで、レビュー最終回として、今後のワイヤレスイヤホン/ヘッドホンの展望について、個人的見解を書いてみようかと思います。
ワイヤレスの限界とゼンハイザーの失敗
まずもって感じるのは、これまでの述べてきた「ワイヤレスにおける音質の限界」です。
これは認めざるを得ないでしょう。
特に「イヤホン」においては、「解像感とバランスの良い音作り」の両立において壁にぶち当たっているというのが現状なのかもしれません。
私は音質で評判のいいVictorやTechnicsの最新機種は聴いたことがありませんので、あくまでも「WF-1000XM4」目線での話となりますが、この機種、改めて総合的な音作りが非常に上手だと感じました。
音の左右への広がりと前後の立体感、そして艶のある音の響きと解像感全てが高バランスで整えられています。
普通はどこかの部分を際立たせようとしてその部分が「長所でもあり短所でもある」という結果になってしまうのが現状のワイヤレスイヤホンだと思うのです。
「MOMENTUM True Wireless3」は、ボーカルを生々しく煌びやかに聴かせるために、中音域を近く感じさせるようなドライバー調整を行うとともに、解像感が高く聴こえるように音のエッジを立ち上がらせるようにデジタル的に調節しました。
この音が「解像感が高くていい音」と感じる方であればそれでいいのでしょうが、私には違和感しかなかったわけです。
私個人としては、MOMENTUM True Wireless3の音は、
「解像度が高いのではなく、無理矢理音のエッジを立てられた人工的な解像感高さ」
だと判断しました。
本来の解像度は「WF-1000XM4」と変わらないと思います。
SONYは無理矢理エッジを立たせることもできたでしょうが、そのような音が崩壊するようなチューニングはしなかった…ということだ思います。このあたりにSONYの良心を感じます。
本来であればゼンハイザーが貫き通さなければならなかったことであり、この点は残念。
ゼンハイザーは、近代的な音を目指しつつも、「豊かな低音が艶を生む心地よいリスニング」という元来の音作りを土台にしていくべき。
今回のMOMENTUM True Wireless3ではそこからはみ出してしまったような印象を受けます。
「WH-1000XM5」と「AirPods Max2」への期待
イヤホンの現状を捉えると、「ヘッドホン」の分野では更なる音質向上を期待したくなります。
奇しくも、もうすぐSONY「WH-1000XM5」が登場します。
音質向上に関して心地よい言葉が見つけられないのがちょっと気がかりではありますが、WF-1000XM4以上音を期待したいところです。
更に、期待したいのはAppleの「AirPods Max2」です。
というのも、今秋と噂される「AirPods Pro2」「AirPods Max2」の発売に当たり、Appleがロスレス/ハイレゾ対応の独自無線コーデックを開発する…という情報があるからです。
これまで、Apple Musicを利用している限り、無線状態では「AAC」の縛りがありました。
この縛りが解け、iPhoneのApple MusicからAndroidの「LDAC」のような音質が楽しめるのであれば最高です。
しかし、「AirPods Pro2」に音質を期待するのは無理でしょう。
多少割高になることは承知の上で、音質を求めるのであれば「AirPods Max2」へと舵を切りたいところです。
2022年後半はヘッドホンが熱い!
そう考えております。