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ゼンハイザー「HD820」+ TEAC「UD-505」で最後の挑戦【Part4】〜40時間経過・音質評価編〜

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40時間経過の音質はいかに?

 最高のヘッドホン環境を求めて,ゼンハイザー「HD820」に最後の望みをかけ,レビューしております。

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 これまで,「HD820」に辿り着いた経緯,到着編,取って出しの音質編と書かせていただきました。 

 今回はいよいよ,エージング40時間経過後の「音質評価編」です。

 とはいえ…。
 前回の「取って出しの音質編」でも書いたとおり,
「取って出しの時点でケチの付けようのないほぼ完璧な音」
であったわけです。

 これまでの密閉型ヘッドホンで必ず感じていたこもりが全くありませんし,低音の中音域への被りも皆無。
 考えれば考えるほど,
「密閉型でこのような音作りを実現されたゼンハイザーって,やっぱりすげーな!」
と,感心するばかりです。

 そんなゼンハイザーが,エージング後の音作りでやらかすはずがありませんので,残る注目点は,
「取って出しの時点で完璧とも思える音の,どの部分が更に向上するのか?」
ということです。

 さて,どうなりますことやら…。

 

低音の豊かさと高音のシャリ付きと…

 まずは,前回の「Part3」でも書いた,取って出しの音質の感想を再掲載しておきます。

〇これまでの全てのヘッドホンで感じていた低音部のこもりが全くない
〇よって,ボーカル帯低音域が被さって悪さをすることがない
〇これまでのどのイヤホン・ヘッドホンでも感じたことがないくらいに,高音がどこまでも伸びる(大げさではなく限界が感じられない)
〇中・高音の音質の透明感がエグい。正に「美音」
〇それでいて全く刺さることのない音
〇低音が目立つチューニングではないが,必要な量がしっかり出ている
〇沈み込み等の低音の「質」が最高。AH-D9200のように,「量は出ているがボワボワしている」低音とは真逆。
〇必要な沈み込みはこれまでに経験がないくらい出ているのに,決して中音のボーカル帯を邪魔することにない絶妙の低音チューニング

〇音場は密閉化型とすれば広い方
〇横方向に広い。奥行きはさほど感じない
〇しかし,個々の楽器がそれぞれに空間上の居場所をしっかりと主張し,しかも他の要素を決して邪魔しないような鳴り方をするため,最上級の立体感を感じ取ることができる
〇解像感はもちろんバリ高。しかし,刺激的な音ではない。もはや解像感がどうのこうの言うレベルではない印象

 美麗な音を奏でる「フラット系リスニング機」というのが正直な印象です。

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 この傾向はエージングを重ねても全く変わりません。
 逆に,取って出しから最高のパフォーマンスを発揮できるHD820に驚かされます。「MOMENTUM Wireless3」の初期段階は質のよろしくない低音が強すぎで中・高音の伸びが足りないという状況でしたので,大型のドライバーをもつHD820との違いの理由がよく分からないくらいです。
 「MOMENTUM Wireless3」のレビューに関してはこちらをご参照ください。

 最初が素晴らしすぎ増したし,そもそもが欠点という欠点がない状況でのスタートでしたので,大きく変わったという点では書きづらいのですが,全体とのバランスの中で改善された点を2点挙げます。

①低音の量感が増した

 元来が,密閉型の割りに低音の量感は控えめ…という印象でした。しかし,必要な時には十分に主張しますし,まずもって輪郭がすっきりとした最高の質感をもつ低音の響きでしたので,個人的には不満がありませんでした。
 しかしエージングを重ねることで,その控えめだった量感に力強さが加わった印象です。その恩恵か,音の艶のようなものが増しました。HD820の総評を「フラット系リスニング機」としたのも主張しすぎない低音を意識したものでしたが,その評価は変わらないものの,「リスニング傾向」にやや傾いたかな…という印象です。
 決して全体の音作りが変わったわけではありませんが,音の豊かさ,艶めかしさ,艶のようなものが増し,より「ゼンハイザーの音」に近づいたという感じでしょうか…。

 当初よりも心に染み込んでくるような音に変化しつつあります。

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②高音部のシャリ付きが減少してきた

 HD820の魅力の1つが,「どこまでも突き抜けるように伸びる高音域」です。
 これ,「言い過ぎ」ではありません。本当にどこまでも突き抜けるように伸びていくのです。AH-D9200のレビューでも高音部の伸びを称賛しましたが,本機はレベルが違います。私の経験の中でも段違いの伸びは,その部分だけをとっても,
「HD820をこれからの相棒にしていこう…」
と決心させてくれる魅力を有しています。

 この高音部,絡みつくように美麗で艶めかしいボーカル帯の中音域,そして前述した豊かで質の良い低音域…。
 各要素が本当に最上級なのです。このHD820。各音域がどれも最高って,そんな都合のいいヘッドホンがあるなんて信じられますか?
 もちろん高価ですが,沼にはまり,色々とさまようくらいであれば,まずはHD820を選択して沼を卒業した方が,よっぽど経済的だと感じます。遠回りした張本人が言うのですから,間違いありませんよ!

 さて,その高音部ですが,伸びていると感じる裏側に,若干の「サ行」の刺さりのようなものも感じていました。とてつもない高音部の表現能力故の若干の刺さりだとは思うのですが,この刺さりのようなものが消え,まろやかさも出てきました。
 超絶解像感とともに伸びるという,元来の高音のよさはそのままで,若干存在した過度な部分のアラが削られてきた…という印象です。

 

ほぼ完璧です!

 ほぼ完璧な音です!
 これ以上ヘッドホンに要求することは,私のレベルではありません。

 しっとりとした曲を聴けば,心が震えます。
 アコースティックな楽器の一つ一つの響きが,豊かに,そして美しく,空気の震えとともに伝わってきます。

 乗りのいいポップスやロックでも,破綻することなく,聴き取れます。AH-D9200や,スピーカーであるDALI「MinuetSE」では,この手の音の表現はやや苦手です。情報量が多くなると,どうしても一つ一つの要素が混在してしまい,上手にアウトプットできない印象が非常に強いです。
 しかしHD820はどんな場合でも破綻しないのです。これ,本当に異次元の世界です。
 乗りのよさ,楽器数の多さ,全体のレベルの高さ等の様々な要素を適切に処理し,情報量を残しながらも破綻しない音楽として耳に届ける…。
 少なくとも私は,オールラウンドで満足のいく再生をしてくれる機器を知りませんでした。HD820は,初めて「全てを任せられる」と感じさせてくれたヘッドホンです。

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 しっとり系,アコースティック系では,奥行き表現が優れていることもあり,「MinuetSE」で聴く方が没頭できますし,より自然な音楽として聴くことができます。
 しかし,音量のことなどで制限がかかる場合には,HD820で聴いても何の問題もありません。スピーカーとヘッドホンということで,そもそもの表現方法が違うわけですし,HD820の表現も「MinuetSE」から大きく劣っているわけではありませんので。

 乗りのいいポップスやロックでは,HD820一択です。
 「MinuetSE」では,一つ一つの音の要素の聴き取りが難しくなりますし,ただやかましいだけ…という曲もあります。しかし,それをHD820で聴くと,埋もれていた音の一つ一つをしっかりと聴き取ることができますし,まずもって音楽が破綻することがありませんので。

 というわけで,「悪いものは悪い」とはっきりと言いたい私としても,HD820には「満点」をあげてもいいと考えております。

 ようやく出会えました。
 安心して全てを任せられるヘッドホンに…。